
武田薬品社長を務めた武田國男氏が8日、老衰のため神戸市内の病院で亡くなった。享年84歳。同社の国際展開の基礎を作った。
通夜、葬儀、告別式とも家族葬にて執り行われた。故人の遺志から「お別れ会」などは行う予定はないという。
武田氏は1940年1月生まれ、兵庫県出身。1962年の入社以降、長く国際部門で経験を積み、米国アボット・ラボラトリーズとの合弁会社であるTAPファーマシューティカル・プロダクツのエグゼクティブ・バイスプレジデントとして米国事業を固めた。
同社によると、93年に社長CEO就任以降、コア事業として医薬品事業に経営資源を集中するなど事業構造の改革を推進し、2001年度の連結決算では国内製薬企業初となる売上高1兆円を達成した。
2003年6月には代表取締役会長CEOとなり、長谷川閑史取締役事業戦略部長を社長に起用した。業界活動では04~06年に日本製薬団体連合会会長を務めた。09年に武田の代表取締役会長を退任した。
クリストフ・ウェバー社長CEOは「優れた決断力と類まれなリーダーシップでタケダの国際化の推進と医薬品事業への集中に尽力された」とした上で「國男氏の旅立ちをとても寂しく思う一方、國男氏が遺した偉大な功績は、これからも永く皆様の心に留まるものと確信している」と悼んだ。