米食品医薬品局(FDA)は6月13日、神経栄養因子チロシンキナーゼ受容体(NTRK)陽性の局所進行性または転移性の固形がん患者の治療薬として、次世代チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であるAugtyro(一般名レポトレクチニブ)を承認した。
本剤は、NTRK融合遺伝子を有し、局所進行性または転移性または手術により重度の後遺症が残る可能性が高く、前治療後に進行したまたは十分な代替治療のない固形がんの成人患者および12歳以上の小児患者を対象としている。
今回の迅速承認は、全体で15種にわたる固形がんを有し、TKI投与歴のない患者40人、TKI投与歴のある患者48人を対象としたTRIDENT-1第1/2相試験に基づいて行われた。同試験によると、TKI投与歴のない患者では、中央値17.8カ月の追跡期間における確定客観的奏効率(cORR)は58%であり、43%は部分奏効、15%は完全奏効だった。TKI投与歴のない奏効患者のうち83%は1年後も奏効を維持しており、奏効期間中央値(mDOR)は未到達だった。TKI投与歴のある患者では、中央値20.1カ月の追跡期間におけるcORRは50%であり、その全例が部分奏効で、完全奏効は見られなかった。TKI投与歴のある奏効患者のうち42%は1年後も奏効を維持しており、mDORは9.9カ月だった。ベースライン時に測定可能な中枢神経系転移を有する患者では、頭蓋内奏効がTKI投与歴のない患者2人中2人、TKI投与歴のある患者3人中3人に認められた。
本剤の承認は、ブリストル マイヤーズ スクイブ社に与えられた。TRIDENT-1グローバル試験リードである米メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのAlexander Drilon氏は、同社のプレスリリースで「NTRK融合遺伝子陽性がんは臨床において困難をもたらす可能性があり、そのためそうした患者に追加の治療選択肢を提供できることは重要である。レポトレクチニブのFDA承認により、われわれのツールボックスに重要なツールが加わった。これにより、腫瘍専門医はTKI投与歴のない患者とTKI投与歴のある患者の両方に対し、NTRK融合遺伝子陽性の幅広い固形がんに使用できる次世代TKIを提供できることになる」と述べている。(HealthDay News 2024年6月20日)