米食品医薬品局(FDA)は7月25日、成人の重症の円形脱毛症の治療薬として、Leqselvi(一般名デュールキソリチニブ)8mg錠剤を承認した。Leqselviは、JAK(ヤヌスキナーゼ)1とJAK2を選択的に阻害するJAK阻害薬の一種で、1日2回経口投与する。
円形脱毛症は、免疫特権の破綻により免疫系が毛包を攻撃することで、突然、毛が抜けてしまうのを特徴とする自己免疫疾患である。最も影響を受けやすい部位は頭皮だが、毛のある部位ならどこにでも、年齢や性別を問わず生じ得る。円形脱毛症は不安や抑うつなどの深刻な精神症状を伴う可能性があるが、現時点で、円形脱毛症に対する承認済みの治療法は限られている。
今回の承認は、2件のプラセボ対照ランダム化第3相臨床試験(THRIVE-AA1、THRIVE-AA2)のデータに基づいている。これらの試験は、SALT(Severity of Alopecia Tool)スコアでの評価で頭皮の毛髪が6カ月以上にわたり50%以上抜けていることが確認された、米国、カナダ、およびヨーロッパの18〜65歳の円形脱毛症患者1,220人を対象にしている。SALTスコアは、0は脱毛なし、100は頭髪が全て抜けていることを表す。これらの患者は、24週間にわたってLeqselvi 8mgまたは12mgをそれぞれ1日2回投与する群と、プラセボを投与する群にランダムに割り付けられた。主要評価項目は、24週間にわたる治療でSALTスコア20以下を達成した患者の割合だった。
その結果、24週間時点で、Leqselviを投与された患者の30%以上が頭の毛髪被覆率80%以上を達成し(SALTスコア≦20)、その人数は24週間を通して増加し続けていた。また、患者の最大25%では頭皮の毛髪がほぼ全て戻っていた(毛髪被覆率≧90%)。
2件の試験において、Leqselviを投与された患者に最もよく生じた有害事象は、頭痛(12.4%対プラセボ投与患者9.4%)、にきび(10%対4.3%)、および鼻咽頭炎(8.1%対6.7%)であった。
Leqselvi臨床開発プログラムの研究者である米カリフォルニア大学アーバイン校のNatasha Mesinkovska氏は、「重症の円形脱毛症患者にとって、効果的な治療法による早期介入は非常に重要だ」とし、「効果が証明されたこの経口JAK阻害薬は、円形脱毛症の患者コミュニティに大きな影響を与えるだろう」と述べている。
なお、Leqselviの承認は、Sun Pharma社に対して付与された。(HealthDay News 2024年8月2日)
Source
https://www.healthday.com/healthpro-news/skin-health/fda-approves-leqselvi-for-severe-alopecia
(参考情報)
https://www.fda.gov/drugs/novel-drug-approvals-fda/novel-drug-approvals-2024
https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2024/217900s000lbl.pdf