第57回日本薬剤師会学術大会
東邦薬品は今春、発注・在庫管理・棚卸の効率化ができる薬局本部システム「ミザル」の簡易版をリリースした。既に提供している「ミザル」から複数のグループ店舗と在庫共有・デッドストック(余剰在庫)品を共有できる本部機能を除いた、自動発注機能に特化した1店舗用の専用パッケージ版である。薬剤師に対物業務から対人業務へのシフトチェンジが求められる中、「ミザル」簡易版は、人が行う業務を自動化して、薬剤師が働きやすい環境を作ることで薬局DXの推進をサポートする。
同システムは、需要予測・来局予測による自動発注機能を備えているのが特徴だ。前回処方をもとに、次回来局日に処方される内服薬の調剤予定数量と発注時点の在庫数量を比較し、在庫が足りない場合に自動で発注される。対象患者の来局予定日前に処方薬を揃えることが可能で、処方データをもとに必要な数量を決められた曜日と時間に自動発注できるため、発注作業にかかる時間を大幅に削減できる。簡易版では自動発注品の納品指定日を選択することが可能になった。
これまでの発注スタイルは、薬剤師や特定の発注担当者が空箱から適宜発注することが多かったため、在庫の最適化ができずに欠品や急配のリスクが発生するなど、対物業務の比重も高く長時間労働につながる傾向にあった。ミザルのデータに基づいた発注スタイルでは、自動発注を利用することで発注頻度が最適化され、発注業務の効率化が実現し、薬剤師や特定の発注担当者の働き方を変えることにつながり、対人業務に時間を充てることが可能になる。
調剤頻度分類によって薬品群を仕分けできる機能もあり、同社グループ薬局でのデータを分析した結果、週1回以上必ず調剤する医薬品を自動発注に登録することで、処方金額の約7割の発注を自動化することが可能になった。
そのほか、使用期限・ロット管理機能により、不動在庫のリスクを軽減する成果も期待でき、納品データによる使用期限・ロット管理によって不動在庫による廃棄損を減らすことも可能だ。
医薬品発注・情報端末機「Future ENIF」と連動すると、通常の薬局業務を止めずに棚卸作業を行う循環棚卸機能が利用できる。少人数かつ数日にわけて棚卸業務を行うことで、人や残業時間を最小限に抑えることができる。