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【第57回日薬学術大会】分科会の見どころ・聞きどころ 漢方を知って、薬剤師としてのスキルを広げてみませんか?

2024年09月17日 (火)

第57回日本薬剤師会学術大会

座長
日本薬剤師会理事
小黒佳代子
埼玉県薬剤師会理事
松田佳和

 医療保険制度の中で漢方薬エキス剤が使用されるようになったのは1967年(昭和42年)からで、初めて4処方の漢方エキス剤が薬価収載され、現在では147の処方が認められている。漢方薬は現在の保険医療の中でも身近となり、一般用医薬品としても店頭に並び、多くの国民に広く服用されているが、このように身近になった一方で、漢方薬は国民から「効果が出にくい薬」「軽い症状に効く薬」と思われ、薬剤師も含めた医療者も同様に考えている者も多いのではないか。それは薬学教育において個々の生薬については学ぶものの、漢方の考え方について深く学ぶ機会が少ないことが原因となっているからなのかもしれない。

 超高齢社会の現在において健康寿命の延伸という観点から、身体機能や病状の維持、疾病予防は医療の重要な役割の一つであり、体質改善を得意とし、患者の証を見極めて選択する漢方薬の考え方は、現在の医療の目的にマッチしていると言えよう。新型コロナウイルス感染などの感染症においても、咳止めを例に挙げても様々な種類の方剤があり、適正な方剤を投与することで患者の症状を軽減することが可能となる。

 漢方薬は患者個々に対するオーダーメイド医療で、同じ症状でも異なる方剤が選択されることがある。患者の症状を詳細にヒアリングして選択する必要があり、薬剤師によるフィジカルアセスメントやかかりつけ薬剤師としての活動にもつながるものである。しかも薬局の店頭で一般用医薬品として販売することが可能で、今後の薬局経営という観点からも薬剤師にとって重要なアイテムであると考える。

 本分科会では、漢方薬に精通し、漢方薬の販売や提案を実践している演者が、漢方に関する考え方やその実践方法、活用方法をお伝えし、さらに今後の薬局製剤の可能性についてもお伝えする。保険調剤の普及の中で全ての薬局薬剤師にとって身近となった漢方薬に対する理解を深め、活用できるスキルを身に付けられる分科会として期待したい。

 (小黒佳代子



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