◇「ネクサバール錠200mg」(一般名:ソラフェニブトシル酸塩)=バイエル薬品
切除不能な肝細胞癌に対する適応追加を取得した。全身治療薬として肝細胞癌患者の全生存期間を延長させることを世界で初めて示した薬剤。欧米での第III相臨床試験結果をもとに、承認を得た。
国内で毎年約4万人が新たに肝癌と診断され、年間約3万5000人が死亡している。肝切除など初期治療で消失できても、主な原因であるB型、C型肝炎ウイルスを除去できないため再発することが多く、再発・進行期における治療の選択肢が求められていた。
この適応症は世界60カ国以上で承認されている。進行性腎細胞癌への適応は日本を含め世界70カ国以上で承認済み。卵巣癌、胃癌など他の癌腫に対する臨床開発も進行している。08年の国内売上高は42億6200万円(薬価ベース)
◇「アリムタ注射用500mg」(一般名:ペメトレキセドナトリウム水和物)=日本イーライリリー
切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する適応追加を取得した。
第III相臨床試験では、腺癌及び大細胞癌を合わせた非扁平上皮癌の組織型を示す患者の生存期間は、「ジェムザール」(一般名:ゲムシタビン塩酸塩)投与群の10・4カ月に比べ、「アリムタ」投与群は11・8カ月と上回った。
この適応症は世界94カ国で承認されている。腺癌は非小細胞肺癌の7割を占め、近年著しく増加している。国内でもその組織型に応じた効果的な薬剤選択が可能になった。この適応症での使用時はDPC包括評価対象から外され、出来高での算定が可能だ。
「500mg」は悪性胸膜中皮腫を適応症として07年に国内で承認取得。新剤形として今回承認された「100mg」は両適応症を取得している。
◇「メトホルミン塩酸塩(一般名)」=大日本住友製薬/日本新薬
2型糖尿病患者に対する単独療法が可能になる一部変更承認を取得した。
日本では「SU剤が効果不十分な場合あるいは副作用等により使用不適当な場合に限る」という使用制限があったが、それがなくなり、欧米と同様に第一選択薬での使用が可能になった。日本臨床内科医会が2006年に厚生労働省に提出した要望書を受け、両社が一部変更承認を申請していた。
商品名は、大日本住友製薬が「メルビン錠250mg」、日本新薬が「グリコラン錠250mg」
◇「バリキサ錠450mg」(一般名:バルガンシクロビル塩酸塩)=田辺三菱製薬
これまでの「後天性免疫不全症候群(エイズ)患者におけるサイトメガロウイルス(CMV)網膜炎の治療」から、「後天性免疫不全症候群、臓器移植(造血幹細胞移植も含む)、および悪性腫瘍におけるCMV感染症」に、効能・効果が追加された。
CMVは典型的な日和見感染症を起こす原因ウイルスで、臓器移植などの際には、十分な配慮が望まれている。日本では現在、臓器移植後のCMV感染症には、同社が製造販売する「デノシン点滴静注用500mg」が抗CMV化学療法剤として使用されているが、点滴静注投与のため、患者の負担を軽減するため経口投与製剤の登場が待たれていた。