オムロンヘルスケアは18日、同社の健康管理アプリ「OMRON connect(オムロンコネクト)」と接続する家庭用血圧計から収集された約1万5000人分の記録を分析し、朝の血圧値と季節変動、また地域別の血圧変動を調査した結果を示した。朝の血圧は気温の変化に合わせて変動しており、冬季は夏季と比較して収縮期血圧の平均値が4.2mmHg高くなることや、年代が上がるにつれ、年間を通じた収縮期血圧とその変動幅も高いことが分かった。
日本高血圧学会は2025年に「早朝高血圧徹底制圧宣言」を発表し、社会全体での早朝高血圧の予防と改善に向けた新たな取り組みを開始している。行動変容を促す施策として「血圧朝活キャンペーン」などを掲げ、家庭での定期的な血圧測定の重要性を改めて呼びかけている。
こうした取り組みを踏まえ、同社では蓄積された家庭血圧データをもとに、130/80mmHg未満のユーザーの割合や、季節・地域ごとの変動傾向を分析し、啓発につなげるための調査を今回実施した。
24年6月から25年5月にかけて収集した血圧データ(N=1万5043件)を分析した結果、外気温の低下と共に、朝の血圧平均値が上昇していることが分かった。具体的には、朝の時間帯に測定された収縮期血圧の平均値が一番低かった7月の123.7mmHgに対して、一番高かった12月では127.9mmHgと、4.2mmHgの上昇が確認された。
さらに、この季節変動を年代別に分析すると、血圧は年代が上がるにつれて年間を通して高くなり、季節変動の幅も大きいことが分かった。この結果から、年齢が高くなるほど冬季の血圧変動に注意が必要なことが明らかになった。
このような現象の背景には、寒冷刺激による血管収縮と交感神経の活性化が大きく関わっている可能性がある。起床時、人の体は交感神経の活動が高まることで血圧が自然と上昇するが、冬季にはこれに加えて気温の低さが血管をさらに収縮させ、血圧を急激に押し上げる要因になると考えられた。
また、都道府県別に季節ごとの朝の血圧変化をみると、地域差があった。季節を通して、血圧コントロール目標(130/80mmHg)を超える人の割合が高い地域(高知県、和歌山県など)がある一方で、低い地域(鹿児島県、大分県など)もあることが分かった。
起床後1~2時間以内の血圧が高い状態は「早朝高血圧」と呼ばれ、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクを大きく高めると言われている。特に気温が低くなる冬場には、血圧が上昇する傾向にあることが一般に知られているが、今回の調査でもこの傾向が見られた。
同社は、家庭でできる「早朝高血圧」対策として、
▽起床後1時間以内に、毎日同じ時間・姿勢で血圧を測定しチェック(州に~2では変動は把握できない.記録も忘れずに))
▽室温を20℃前後に保つ・暖房のタイマー設定で朝の寒さを緩和する(脱衣所やトイレの寒さも血圧上昇の原因になる)
▽就寝時の保温(腹巻き・靴下・保温寝具)+起床時はゆっくりと行動を(急に起き上がると血圧が跳ね上がり安くなる)
――の三つの予防行動を促すと共に、「このような日々のセルフケアと家庭血圧測定の習慣化が、重篤な疾患を未然に防ぐ鍵となる」と呼びかけている。
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