◆8月、ポツダム宣言受諾まで先人は何を守ろうとしたのか。そのことに思いを致し、1943年に34歳で亡くなった仏の哲学者シモーヌ・ヴェイユの著作を手に取る。彼女は、革命、ファシズムと力ずくの時代を生きた。自身の体験も踏まえ、特に「力」とは何かを突き詰めた
◆彼女は、加害する者とそれに反攻する者という構図を退ける。「力は、力に従う人誰しもをモノにする」「犠牲者もまた加害者とおなじく力の穢れに染まっている」。この苛烈な表現は、力が人間性を侵食するとの警句である。自らも力を生起するとして他者と群れることを避けた
◆世界には再び、力ずくで物事を変えようとする者が現れた。国際政治は、政治学者の高坂正堯氏の指摘を借りれば力と利益と価値の衝突の場である。力を退けるヴェイユの警句は純粋にすぎ、現実には馴染まない
◆それでも善と悪を軽々に断じ、対立が深まる今、彼女の警句を噛みしめてみたい。医薬品産業は戦時には軍需生産を迫られた一方、戦禍も被り、今後も有事対応が迫られるからだ。
力の時代に問う人間性の行方
2026年08月17日 (月)
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