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【アクロネット/ベルシステム24】CRO業務の一括受託に活路‐将来に向けた生き残りへ布石

2009年08月19日 (水)
ベルシステム24の渡辺本部長

ベルシステム24の渡辺本部長

 中堅CROのベルシステム24の渡辺敏彦医薬関連サービス本部長とACRONET(アクロネット)の植松尚社長は、本紙の単独インタビューに応じ、包括的業務提携を決断した背景を語った。それぞれITサービスとモニタリング業務に強みを持つ両社だが、「CROとして最終的に生き残るためには、フルサービスの提供が不可欠」との認識で一致。お互いの強みを融合し、国内基盤を強化することで、大手の一角を目指す方針を鮮明に打ち出した。市場競争が激しさを増し、CROの勢力図が二極分化しつつある中、業界再編の第一幕が動き出した格好と言えよう。

 アクロネットは、ITに強いCROとして臨床試験サービスを開始して以来、モニタリング、データマネジメント・統計解析業務に進出。EDCの自社開発にも乗り出し、事業を拡大してきた。一方、ベルシステム24は、登録・割付事業、治験広告受付センターなど医薬・医療コンタクトセンターのノウハウを生かし、情報系CROとして総合的なサービスを展開してきた。

アクロネットの植松社長

アクロネットの植松社長

 ただ、CROのグローバル化が進み、市場競争が激しさを増す中、両社ともフルサービスの一括受託という面では弱みを抱えていた。植松氏は「CROビジネスが転換期にある中で、今後も生き残っていくためにはフルサービスの一括受託ができなければ厳しい」との認識を示し、渡辺氏も「最終的には包括受託をしていかなければCROとして生き残ることはできない」と、一致した見解を持っていた。

 そこで両社は、2009年始めから具体的な提携交渉を開始。アクロネットのモニタリング機能、ベルシステム24のITサービスという強みを融合し、本格的なフルサービスの提供を目指すため、正式に業務提携することで合意した。CROとして生き残るためには、フルサービスの提供が不可欠との認識が提携の大きな背景になっており、渡辺氏は「アクロネットのモニタリング機能に、われわれのITサービスを付加することで、相当に強いサービスになる」と自信を示す。

 今後、両社は、密接な連携のもとでCRO業務の共同受託を進める。モニタリング、データマネジメント、統計解析から薬剤割付、症例登録センター、治験広告受受け付け、EDCツールまで、CRO業務全体をカバーするフルサービスの提供を目指し、顧客ニーズに合わせた一括受託の形態を検討していく予定だ。

 ただ、渡辺氏は「一括受託といっても、大型案件が次々とあるわけではないので、どう個別のサービスの中で協業していくかだ」と課題を指摘する。実際には、モニタリングと症例登録センターなど、両社のキャパシティーに応じた協業を進める考えで、「1社のCROにアウトソーシングしている感覚で仕事ができる。それがわれわれの提供していくサービスになる」と、協業の具体像を示した。当面は、会社の枠を超えた密接なコミュニケーション、情報連携、教育研修の標準化などの枠組みを構築し、一括受託の体制を整えていく予定だ。

 これまで、国内CROは右肩上がりの急成長を遂げ、昨年度は市場規模が1000億円を突破した。しかし足元を見ると、グローバル化とコスト競争の厳しい波にさらされているのが現状で、CROを取り巻く環境は大きな転換期を迎えている。

 植松氏は「成長の鈍化が見えつつある中で、やはりCROとして生き残るためには、モニタリングだけでなく、フルサービスを目指していくべき」と改めて強調。渡辺氏も「日本ではモニタリングのコストが高いと言われ、コストの圧縮が進んでいる中で、モニタリング以外の業務をいかに取り込めるかが、生き残るための大きなポイント」と指摘する。今後の合併の可能性については、両社とも「まずは提携関係を進めていくことが重要」と明言を避けるが、国内中堅CRO同士が一体化に近い業務提携に踏み切ったことで、今後、CROの再編圧力が高まる可能性もありそうだ。

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