バイオベンチャーのトランスパレントは、ヒト肝細胞を用いた創薬スクリーニングツール「セルエイブル」の試験で、薬物候補化合物の肝機能を同じ評価系で安定的に評価できるようになったと発表した。これまで候補化合物の評価は肝機能別に行われてきたが、セルエイブルを用いたところ、同じ評価系で評価できることが世界で初めて実証された。研究成果は、国立成育医療センターとの共同研究として得られたもの。
同社は、昨年5月に生体外でヒト肝細胞の培養を可能にした世界初の創薬スクリーニングツール「セルエイブル」を発売。2009年4月からは、国立成育医療センターとの共同研究を開始し、生体外でヒト肝細胞を3次元培養できるセルエイブルの評価を検討してきた。その結果、標準的な評価系に比べて、セルエイブルは候補化合物の様々な肝機能を長期間にわたって評価ができることが分かった。
これまで候補化合物における肝機能評価は、肝取り込み、第I相試験、第II相試験での代謝、胆汁排泄など、肝機能別に評価系が必要とされ、またそれぞれの評価系は、数時間から2日程度しか維持できず、不安定な条件下で行わざるを得なかった。
今回、セルエイブルを用いた試験結果から、同じ評価系で様々な肝機能評価が可能になった。さらに、肝組織に近い環境を維持することで、数日から2週間といった安定した条件で評価できるようになった。こうした同じ評価系で安定的な候補化合物の肝機能評価が実証されたのは世界初。
この試験結果を受け、同社はセルエイブルの日本、米国での販売を強化していく方針。来期売上高で2億円を目指す考えだ。