協和発酵キリンの松田譲社長は29日、都内で開いた中間決算説明会で、高活性抗体作製技術「ポテリジェント」の導出契約を行った抗体医薬のうち、5品目が臨床試験入りしていることを明らかにした。ポテリジェント技術の導出は、新たに大塚製薬、米バイオ企業「NKTセラピューティクス」の2社とライセンス契約を締結し、14社にまで拡大しているが、導出先の開発状況を公表したのは初めて。
独自開発のポテリジェント技術を活用した同社の抗体医薬パイプラインは、臨床開発中が5品目、非臨床段階が10品目と順調に増加している。その中で、先頭を走っているのが、第II相試験中の抗CCR4抗体「KW‐0761」。続いて「KRN330」が第I/II相試験段階、「BIW8962」「ASKP1240」「KRN23」が第I相試験段階に入ってきた。
これら15品目のうち、8品目に旧協和発酵のポテリジェント技術、5品目に旧キリンファーマのKMマウス技術を活用し、ポテリジェントとKMマウスの両技術を活用した抗体医薬も3品目に上る。松田氏は、「着実に統合シナジーが開発品に波及してきている」と述べ、パイプラインの充実ぶりに自信を示した。
また、導出した抗体医薬は「KW‐0761」(米アムジェン)、「BIW‐8405」(英アストラゼネカ)、「KW‐2871」(米ライフ・サイエンス・ファーマシューティカル)、「抗LIGHT抗体」(仏サノフィ・アベンティス)の4品目で、さらにポテリジェントの技術導出は14社に拡大。既にポテリジェント契約を締結した導出先の抗体医薬で、5品目が臨床試験入りした。
昨年4月の決算説明会で松田氏は、ポテリジェント技術の導出が拡大している状況に触れ、「われわれも単に契約数を増やすのではなく、上市の可能性が高い開発品を持っている企業を選んでいく」と述べていたが、導出先で5品目の臨床試験入りが判明したことで、ポテリジェント抗体の開発進展が裏付けられた格好だ。