メディパルホールディングスと三菱商事が、中国の国薬控股股{イ+分}有限公司(国薬HD)と包括提携した最初の事業である合弁会社「北京華鴻」が10月27日に設立し、28日に北京市で設立記念式典が開催された。熊倉貞武メディパルHD社長はあいさつで、自身の長年の夢だった中国進出を実現したことについて、「中国国民の生命と健康に貢献できる機会を得られたことを喜んでいる」と、中国における本格的な事業展開への第一歩を記したことを強調した。事前に行われた記者会見では、中国進出を果たした感慨と経緯を述べると共に、中国での医薬品流通市場の課題として情報流不足を指摘し、この分野に長けているメディパルのノウハウを提供していく方針を示したほか、北京市の医療需要の急速な伸びを背景に、北京華鴻の売上高を現在の150億円から3年後には300億円へと倍増させる目標も明らかにしている。
あいさつではそのほか、メディパルグループは医薬品を適時・適品・適量で供給する仕組みを備えていることを説明すると共に、日本で平時、緊急時を問わず、医薬品が供給できずに多数の死者が出たことも、偽薬が蔓延したこともないという事実は、「医薬品卸が国民の健康と生命の安全に寄与する重大な社会的使命を担っていることを、本能的に自覚しながら仕事をしてきた証しだと自負している」とした上で、この社会的使命を中国国内でも発揮して、日中両国国民にさらに貢献していく考えを表明した。
熊倉氏は、国薬HDと北京華鴻の社員を讃えると共に、国薬HDの付明仲総経理(社長)、北京華鴻の化唯強総経理は心の友だと紹介したほか、今回の包括提携と合弁会社設立の大きな要因となった三菱商事と、記念式典に出席した日本製薬団体連合会の竹中登一会長に謝辞を述べた。
記者会見で熊倉氏は、今回の包括提携・合弁事業の開始は「難産だった」との感想を述べた。4年前から三菱商事と中国進出を構想し、2007年2月からは国薬HDとの交渉を開始、政府から最終的な許可証が発行されたのは式典前日の27日のことであり、「相手が中央政府直轄の企業であるため、(日本企業の出資による国家財産譲渡の許可に)時間がかかった」と説明した。
国薬HDとの提携に関しては、「メディパルHDと一緒にやることに対して、終始一貫ぶれなかったことが一番大きい。お互いにナンバーワンであることの共通認識があり、人間同士の信頼関係が築けたことや、三菱商事さんのバックアップも大きな要因だ」とした。
また、「中国市場の課題としては物流よりも、処方動向やトレーサビリティなどの情報流が十分ではないので、ここにメディパルのノウハウが役立つのではないかと思っている。研修などでノウハウを提供していく」との方針を語った。
中国では省ごとに規制が厳しいため、全土で事業を展開することは難しいとされるが、国薬HDはチベットを除く全土をカバーしていることから、今回の北京での合弁事業を手始めに、今後拡大させていく構想もあるようだ。