新薬創出加算の適用が分かれ目
4月1日実施の薬価改定を受け、本紙が主な国内製薬企業の影響を調べたところ、大手ではエーザイを除く各社が業界平均を上回る6~7%台の引き下げを受けた。特に、エーザイはアルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」に新薬創出加算が適用されたのに対し、国内トップの武田薬品は、糖尿病治療薬「アクトス」が市場拡大再算定を受けた影響で、新薬創出加算の適用除外となり、明暗を分けた。準大手・中堅でも5%台~約10%の引き下げと、各社で大きな差が見られる結果となった。
各社全体の影響率と主力品の状況を、汎用規格を中心に見ると、武田は大型品の「アクトス」が市場拡大再算定の適用を受け14・1%。新薬創出加算の適用から除外された影響が直撃した。また、抗潰瘍剤「タケプロン」は2・2%の追加引き下げを受け8・9%、糖尿病治療薬「ベイスン」も8・4%と軒並み大幅な引き下げとなった。アンジオテンシンII受容体拮抗剤「ブロプレス」も激しい市場競争が影響して7・3%。新薬創出加算も2品目にとどまった。
アステラス製薬は6%強。過活動膀胱治療薬「ベシケア」、COX‐2阻害薬「セレコックス」など14品目が新薬創出加算の適用となったが、免疫抑制剤「プログラフ」が4・9%の引き下げ、過活動膀胱治療薬「ハルナール」が追加引き下げにより、8・8%となった。
第一三共は7%台。主力品の状況は開示していないが、厚労省資料によると、主力の抗菌薬「クラビット」が6%の特例引き下げを受けている。
エーザイは4%台半ばと、業界平均を下回る引き下げ率に収まった。「パリエット」が8・6%、「セルベックス」が追加引き下げにより9・7%と、抗潰瘍剤が軒並み影響を受けたが、主力の「アリセプト」が新薬創出加算の適用となり、1・5%の引き下げにとどまったことがプラス影響に働いた。
準大手を見ると、中外製薬は6・8%。乳癌治療薬「ハーセプチン」が市場拡大再算定の適用を受け18%、激しい市場競争にさらされた腎性貧血治療薬「エポジン」も18%台と大幅引き下げとなったが、抗インフルエンザウイルス薬「タミフル」に加え、抗癌剤「アバスチン」、抗IL‐6受容体抗体「アクテムラ」など、主力の新製品が新薬創出加算の適用となり、引き下げ影響を6%台にとどめた。
協和発酵キリンは6・6%。貧血治療薬「ネスプ」が新薬創出加算の適用を受け1・3~2・6%の引き下げにとどまった。田辺三菱製薬は5%台。抗リウマチ薬「レミケード」が新薬創出加算の適用を受け、業界平均並みとなった。塩野義製薬は6%強で、高脂血症治療薬「クレストール」が7・6%の引き下げ、抗菌薬「フロモックス」が特例引き下げを受け11・4%となった。長期収載品割合が80%台後半の小野薬品は6%台半ばだった。
これに対し、大日本住友製薬は9%強と、とりわけ大きな影響を受けた。主力の高血圧治療薬「アムロジン」が競合激化に加え、特例引き下げが直撃。15・3%の大幅引き下げとなったことが響いた。
一方、中堅企業は、日本ケミファが約10%と二桁の引き下げ、長期収載品の割合が高い持田製薬が8・7%と影響が大きかった。また、あすか製薬が約7%となったほか、杏林製薬が6%台、科研製薬が6%台後半、キッセイ薬品が6・6%と6%台。参天製薬は5%台半ば、日本新薬は5・7%と5%台にとどまるなど、各社の影響率に大きなバラツキが見られる結果となった。