
野木森社長
アステラス製薬の野木森雅郁社長は13日、都内で開いた決算説明会で、大型化が見込まれる経口抗凝固薬「YM150」について、年内に日本で承認申請する方針を明らかにした。国内で終了した術後静脈血栓塞栓症(VTE)予防適応の第III相試験結果が判明し、主要評価項目を達成したことから、年内に国内申請が可能と判断した。野木森氏は「競合が激しい領域だが、リスクベネフィットのバランスで優れた薬剤を目指す」と語った。
「YM150」は、アステラス製薬が自社創製した経口Xa阻害剤。VTE、心房細動(AF)、急性冠症候群(ACS)を適応症にグローバル開発を進めているが、このほどVTEを対象とした2本の国内第III相試験結果が判明。プラセボ群に対する「YM150」群の有効性が示され、主要評価項目を達成した。さらに、安全性と良好な忍容性も認められたことから、野木森氏は「承認申請に必要なデータが得られた」として、今年中の国内申請を目指す方針を明らかにした。
次期グローバル製品として大型化を期待する「YM150」は、既にVTE適応では、米国の第II相試験結果が判明し、用量依存的に有効性が示された。日本とアジアで実施した5本の第III相試験では最終投与を終了。今回、2本の国内ピボタル試験で有効性が判明し、まず日本で承認申請を行うことになった。さらに、欧州・米国の後期第II/III相試験も実施中である。
また、AF適応では、日米欧のグローバル後期第II相試験が進行中、ACS適応でも欧州で後期第II相試験が進められるなど、「YM150」の開発は最終段階に差しかかってきた。
抗凝固薬の開発をめぐっては、第一三共の「エドキサバン」、バイエル薬品の「リバロキサバン」、日本ベーリンガーインゲルハイムの「ダビガトラン」など、競合品が第III相試験段階にひしめき、激しい先陣争いとなっているが、野木森氏は「リスク・ベネフィットのバランスで優れている」と差別化を強調。「VTE以外の適応の開発も一層加速させたい」と語った。
今後、国内では「YM150」の申請準備を急ぎ、競争力のある大型製品として市場投入したい考えだ。