日本ジェネリック医薬品学会は、抗癌剤を中心としたジェネリック(GE)の注射薬について、血中濃度や試験管レベルの薬効・薬理を先発品と比較したデータの公表を、GE薬メーカーに自粛するよう要望する意見書を、12日付で取りまとめた。薬事承認で不要な比較試験を、製品競争のために実施する事例が拡大していることを「非科学的で憂うべき状況」と指摘。過剰な試験データをメーカーに求める医師や薬剤師も、「要求が合理性を欠く」とけん制している。
GE薬の臨床上の有効性、安全性は、化学的・製剤的品質が先発品より劣っていないことで担保されている。具体的には、厚生労働省のガイドラインで、血管外投与は血中濃度などが、先発品と同等であること(生物学的同等性)を示す必要があるものの、血液中に直接投与する注射剤の場合、吸収過程の関与がないため、生物学的同等性試験が免除されている。
GE薬学会は、ガイドラインで定める評価方法を、▽最も合理的、経済的な方法▽科学的にも裏づけされており、世界において各国が共通に採用している――と解説。「開発に多額の費用を必要とせず、国民に安価な、しかも安心できる医薬品を供給できることにつながっている」と指摘する。
さらに、「GE薬メーカが、独自に当初から開発してきたものではない」として、GE薬が社会的財産であることを強調。「目先の企業利益を優先することによって、メーカーに課せられている、社会責任を全うするためのシステムの原則を崩すことは、決して許されない」と釘を刺した。
また、医師や薬剤師に対しては、GE薬の価格高騰を招く可能性があるとの認識を促すと共に、「科学に基づいた医療行為を患者のために実践することを強く要望する」と求めた。