あすか製薬の山口隆社長は20日、都内で開いた中期経営計画説明会で、2012年度までに収益構造の改善を図った上で、次期中計で売上高500億円以上、営業利益50億円を目指す方針を明らかにした。3カ年中計では、徹底したコスト削減を進める一方、重点領域の核に産婦人科を位置づけた。山口氏は「収益改善が3年間の大きな勝負になる」と強調した上で、「われわれの顔である産婦人科領域で新製品を投入し、集中的に取り組んでいきたい」と語った。
同社は、10~12年度までの3カ年中期経営計画で売上高480億円、営業利益30億円を目指すと共に、希望退職者100人を募集。人員の適正化と徹底したコスト削減によって、収益改善を図る方針を打ち出した。山口氏は、12年度までの3年間を「収益向上」の時期と位置づけ、コスト削減を徹底して、企業体質の改善を目指す一方、継続的に新薬を投入し、ジェネリック合弁事業のあすかアクタビス製薬を軌道に乗せ、独自の競争力を強化する考えを示した。
特に医薬事業は、内科、産婦人科、泌尿器科の重点3領域に集中するが、山口氏は「核になるのは産婦人科領域。われわれの顔として集中的に取り組んでいきたい」と語った。中計期間中の11年には、日本初の緊急避妊薬「ノルレボ錠」を上市する予定で、ワイスからの承継品を含め、思春期から老年期まで製品ラインナップを強化する。山口氏は「新製品を加え、産婦人科領域で売上高100億円を狙っていきたい」と意欲を示した。
また、バイオ後続品の不妊症治療剤「AKP‐501」(リコンビナントFSH)に関しては、12年度までに第III相試験を実施し、次期中計期間に上市する計画だ。山口氏は「まず、リコンビナントFSHを上市して、実績を積み上げ、その後は海外に導出したい」と述べ、バイオ後続品の海外展開を目指す考えを明らかにした。その上で、「チャンスがあれば、他のバイオ後続品の導入を考えたい」とし、当面はリコンビナントFSHの開発に集中していく姿勢を示した。
一方、ジェネリック合弁事業のあすかアクタビス製薬は、10年度から仕入れ品を含め、約100品目に品揃えを拡充し、12年度には売上高57億円、MR150人体制を目指す。早期にあすかアクタビス製薬を軌道に乗せた上で、将来的にはアクタビスから原料を調達し、国内生産を行う計画だ。ただ、流通網を活用する武田薬品の特許切れ大型製品を、あすかアクタビス製薬が扱うかどうかについて、山口氏は「まだ話し合いの段階にあり、具体的に決まっていない」と述べるにとどめた。