薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は8月30日、第一三共の抗菌薬「クラビット」の注射剤、新有効成分を含有するシンバイオ製薬の抗癌剤「トレアキシン」の承認と、塩野義製薬の抗インフルエンザウイルス剤「ラピアクタ」に、小児用量を追加する一部変更承認を審議・了承した。いずれも次回の薬事分科会に報告する。
▽クラビット点滴静注バッグ500mg/100mL、同点滴静注500mg/20mL(第一三共が製造販売)=レボフロキサシン水和物を有効成分とするニューキノロン系抗菌薬で、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、腸チフス、パラチフス、炭疽、ブルセラ症、ペスト、野兎病、Q熱を効能・効果とする。
既に経口剤は承認されており、今回、新たな投与経路として注射剤が登場。海外では経口剤が123カ国、注射剤が120カ国で承認されている。再審査期間は6年で、原体、製剤ともに毒薬・劇薬に該当しない。
▽トレアキシン点滴静注用100mg(シンバイオ製薬が製造販売)=ベンダムスチン塩酸塩を有効成分とするアルキル化剤で、再発または難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫およびマントル細胞リンパ腫を効能・効果とする。
アルキル化作用によってDNAを損傷し、アポトーシス誘導、分裂期崩壊誘導による殺細胞効果を示す。類薬にはシクロホスファミドがある。海外ではドイツ、米国で承認されている。希少疾病用医薬品に指定されおり、再審査期間は10年で、全症例調査を承認条件として求める。原体、製剤とも劇薬に指定する予定。
▽ラピアクタ点滴用バッグ300mg、同点滴用バイアル150mg(塩野義製薬が製造販売)=ペラミビル水和物を有効成分とするノイラミニダーゼ阻害薬で、A型またはB型インフルエンザウイルス感染症を効能・効果とする。1月に承認された成人用に小児用を追加。海外承認はない。再審査期間は残余期間の2018年1月12日まで。原体、製剤とも毒薬・劇薬に該当しない。
なお、この日の部会では、ラピアクタについて、パンデミック下にあった1月に承認条件として求めた、市販後の全数把握を解除し、通常の使用成績調査に切り替えることなどを、厚生労働省が報告した。