多剤耐性菌の院内感染が表面化し、社会問題になっていることを受け、日本病院薬剤師会は「院内感染防止は薬剤師の責任」とし、院内感染対策に薬剤師が積極的に貢献するよう、会員に協力を求めた。
日病薬では、国内にはMRSAやVRE、MDRPばかりでなく、多剤耐性アシネトバクター、NDM-1産生大腸菌、カルバペネマーゼ産生肺炎桿菌などが検出され、社会から注目されていることを指摘。「多剤耐性菌を作り出さないことや、日本にも蔓延化しつつある多剤耐性菌による院内感染を防止することは、薬剤師の責任」と位置づけた。
その上で、病院薬剤師には各菌種や抗菌薬を理解した上で、院内感染対策委員会や院内感染対策チームに参加し、常に最新で適切な情報を提供することや、適切な消毒薬・抗菌薬の選択を行うことで、患者が安心して治療に専念できる環境を提供する必要があると、会員に協力を求めた。
薬剤部門が常時把握しておくべきこととして、▽自施設での過去の多剤耐性菌の感染者数▽部署・部門別の抗菌薬の使用状況▽菌種ごとの院内感染が判明した時期とその患者数▽院内感染対策のための組織が正常に機能していることの確認▽感染対策チームに薬剤師が参画していることの確認▽院内感染対策マニュアルの整備▽多剤耐性菌の院内感染が発生した場合の院内連絡訂正、行政機関等への報告の取り決め--などを挙げている。
さらに、院内感染対策をさらに推進するため、▽抗菌薬の適切な使用のための処方提案や疑義照会の徹底▽標準予防策の励行と接触感染予防策の徹底▽低水準消毒剤に抵抗性を獲得した細菌への注意▽院内感染疑い例を把握した場合に、速やかに感染対策部門に報告する--ことを、会員に求めた。