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望まれる子ども用水薬容器の改善

2010年12月17日 (金)

 東京都では商品の使用、またはサービスの利用に伴う危害を防止し、都民の安全な消費生活を確保するため、消費者や事業者などが商品やサービスの安全について検討を行う「東京都商品等安全対策協議会」を設置しているが、今年度の第2回会合がこのほど開かれた。今年度は「子どもに対する医薬品容器の安全対策」をテーマに、議論が進められている。

 この協議会は昨年、子どもによる火遊び事故が目立つ、使い捨てライターの安全対策について活発に議論し、都に提言を行った。これにもとづいて都では、国や業界団体に対し、ライターのチャイルドレジスタンスについて要望した。これを受け、国は早急な検討を行った結果、このほど消費生活用製品安全法の「特別特定製品」に追加する政令が閣議決定された。これにより、いわゆる従来の「100円ライター」などの製造・販売が、今後規制されることとなった。

 今年度の協議会も、引き続き子どもの事故防止に主眼が置かれたが、その中で選定されたテーマが「子どもに対する医薬品容器の安全対策」。都では今年7月、都内在住の0~6歳の子どもを持つ2000人を対象に、乳幼児の誤飲に関するヒヤリ・ハット調査を行った結果、乳幼児は紙類、シール、医薬品、タバコなど、様々なものを誤飲してしまうが、その中でも医療機関を受診したものとして医薬品が、タバコに次いで2番目に多いことが重視され、今回のテーマ選定となった。

 協議会では10月末の第1回会合で、子ども用の水薬容器を対象に検討することを決定した。水薬は、その甘み・芳香から子どもが積極的に服用したがり、保護者の注意だけでは誤飲を防ぎきれないこと、一般薬の水薬ではチャイルドレジスタンス容器が採用されているが、医療用医薬品では一部に限られていることなどから、主に医療用での水薬容器が対象に絞られた。

 これを受け、11月末の第2回会合では、国立成育医療研究センター薬剤部の石川洋一副薬剤部長、東京都薬剤師会の坂口眞弓常務理事が新たに特別委員に加わり、病院薬剤師、開局薬剤師それぞれの立場から、現状や意見を述べた。

 薬局で小児の水剤を出す際には、形式上は「貸与」とはいえ、ほとんど容器代は無料で渡しているのが現状のようで、薬局・患者双方にとっての負担の問題、さらには新たな容器(キャップ)を製造する際のコスト面の問題など、課題は少なくない。

 また、石川氏の病院では、実際に安全キャップの導入を考えたことがあるが、患者サイドの理解不足から、「開けにくい」という不満ばかりが多く、導入に至らなかった経緯があったという。「やはり特定の病院だけでなく、全体で進めるべき。まず国民全体に医薬品容器の安全について啓発をし、理解してもらって、その流れに乗って、安価で製造できるデバイスについての研究開発を進めてもらえば」(石川氏)など、行政・三師会・業界が積極的に関与していく必要性が、各委員から述べられた。

 都では、約600人の保護者を対象に先月行ったWeb調査を集計中で、今後は回答者に実際に医薬品容器の開封を試みてもらった上での感想や、海外の対応事例も含めて問題点を絞っていく考え。コスト面をはじめ、業界を横断する課題も多いだけに、今後の着実な前進を期待したい。



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