国内でインフルエンザワクチンを製造する北里研究所、阪大微生物病研究会、デンカ生研の3者は1日、新型インフルエンザ株に対応した「沈降インフルエンザワクチン(H5N1)」について、1月31日までに製造販売承認申請を行ったことを明らかにした。
申請されたのは、高い免疫原性が期待できる不活化全粒子型抗原とアルミニウムアジュバントを組み合わせたH5N1型インフルエンザワクチン。3者は第II相及びIII相臨床試験を昨年12月までに終了している。このうち北里研と阪大微研は、医師主導治験として実施した。また、同時に研究開発を行っていた化学及血清療法研究所は、現在も開発を継続中である。
第II・III相試験では健康成人に、3週間間隔で2回接種した。その結果、安全性の面では、副反応の大部分が注射部位の発赤、腫脹といった局所反応であり、認容性に大きな問題はなかった。第I相試験では因果関係が否定できない重篤な有害事象として、突発性難聴が1例報告されたが、今回の試験では同様の事例は報告されていない。有効性については、第I相試験と同様の傾向を示す成績が得られたという。
今回の試験成績から3者は、このワクチンが新型インフルエンザに対する予防効果を有すると判断し、承認申請を行ったもの。なお、同ワクチンは昨年6月に希少疾病用医薬品の指定を受けている。