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【海外製薬大手10年度決算出揃う】米市場低迷を新興国でカバー‐医療改革と特許切れ響く

2011年2月16日 (水)

 海外大手製薬企業の2010年度決算が出揃った。米国勢・欧州勢の各社は、主力品の特許切れや価格低下の影響を受けたが、買収効果や後発品事業、ワクチン事業などの多角化効果によって、概ね好業績を確保した。特に医療制度改革で低迷した米国市場の落ち込みを、新興国市場の高成長でカバーする構図が鮮明となり、大型製品の特許切れが本格化する今後、ますます新興国市場の取り込みが大きな鍵となってきそうだ。

米ファイザー

 旧ワイスの製品群が寄与し、売上高は36%増の678億0900万ドルと大幅な増収となった。医療用医薬品のバイオ医薬品部門は、プライマリー・ケア事業部門が3%増の233億2800万ドル、スペシャリティ・ケア事業部門が103%増の150億2100万ドルと倍増。エスタブリッシュ医薬品が30%増、新興国市場も41%増と伸長し、29%増の585億2300万ドルと買収効果が寄与した。

 製品別では、主力の高脂血症治療薬「リピトール」が、欧州の価格引き下げやカナダ、スペインの特許切れなどが響き、6%減の107億3300万ドルと落ち込んだが、線維筋痛症治療薬「リリカ」が8%増の30億6300万ドル、旧ワイス製品の抗リウマチ薬「エンブレル」が32億7400万ドル、小児用13価肺炎球菌ワクチン「プレベナー13」が24億1600万ドル、同7価ワクチン「プレベナー7」が12億5300万ドルと大きく寄与した。

 利益面では、ワイス買収関連の減損費用などが嵩み、純利益は4%減の82億5700万ドルと減益を計上した。

スイス・ノバルティスファーマ

 医薬品事業で主力品と後発品事業の伸長に加え、買収した米コンタクトレンズ大手のアルコンが貢献。ワクチン・診断技術関連事業も好調に推移し、二桁の増収増益となった。

 売上高は、14%増の506億ドル。医薬品事業は、主力の高血圧治療剤「ディオバン」が1%増の61億ドル。癌領域は、慢性骨髄性白血病治療薬「グリベック」が8%増の43億ドル、骨転移治療薬「ゾメタ」が3%増の15億ドル、乳癌治療薬「フェマーラ」が9%増の14億ドルと好調に推移。新製品の加齢黄斑変性症治療薬「ルセンティス」も24%増の15億ドルと二桁の伸びを示し、7%増の306億ドルとなった。

 後発品事業のサンドは、米国と新興国の販売好調に加え、バイオシミラー事業が大幅に伸長し、14%増の85億ドルと二桁成長を達成。ワクチン・診断技術関連事業も新型(H1N1)インフルエンザワクチンが牽引し、25%増の29億ドルと大きく伸ばした。

 その結果、営業利益は、15%増の115億ドル、純利益はアルコンの買収に伴う経費が増加したものの18%増の100億ドルと二桁増益となった。

米メルク

 主力品の堅調な伸びに加え、シェリング・プラウとの統合効果が寄与し、売上高は68%増の459億8700万ドルとなった。
 製品別では、主力のアレルギー治療薬「シングレア」が7%増の49億8700万ドル、2型糖尿病治療薬「ジャヌビア」が24%増の23億8500万ドル、抗HIV薬「アイセントレス」が45%増の10億9000万ドルと好調に推移。旧シェリング・プラウが販売権を持つ抗リウマチ薬「レミケード」が17%増の27億1400万ドル、合弁会社で共同販売する高脂血症治療薬「ゼチーア」が2%増の22億9700万ドルと貢献し、買収効果で大幅な増収となった。

 純利益は、シェリング・プラウ買収に伴うインプロセス研究開発費、販管費の増加が影響し、92%減の9億8200万ドルとなった。

英グラクソ・スミスクライン

 心リスクが警告されていた2型糖尿病治療薬「アバンディア」の販促中止が響き、売上高は1%減の283億9200万ポンドとなった。

 医療用医薬品事業は、2%減の233億8200万ポンド。主力の気管支喘息治療薬「セレタイド/アドエア」が2%増の51億3900万ポンドと堅調に推移。ワクチンも新型インフルエンザのパンデミックワクチンの需要増などが寄与し、15%増の43億2600万ポンドと二桁の伸びを示した。

 ただ、「アバンディア」は全世界での販促中止が響き、44%減の4億4000万ポンド、抗ヘルペスウイルス薬「バルトレックス」は後発品との競合により、60%減の5億3200万ポンドと大きく落ち込み、主力品群でカバーできなかった。

 利益面では、アバンディアの訴訟関連費用などが影響し、営業利益は48%減の51億2800万ポンドと大幅な減益となった。

仏サノフィ・アベンティス

 後発品の攻勢が激しい主力製品群の落ち込みを、新興国市場やワクチン事業等の成長でカバーし、売上高は4%増の303億8400万ユーロとなった。

 医薬品事業は、後発品の攻勢を受けた抗血小板薬「プラビックス」が25%減(恒常為替レート)の20億8300万ユーロ、抗血栓症薬「ロベノックス」が11%減の28億0600万ユーロと二桁の落ち込みを示したが、主力の持効型インスリン製剤「ランタス」が9%増の35億1000万ユーロ、超速効型インスリンアナログ製剤「アピドラ」が24%増の1億7700万ユーロと、糖尿病領域が堅調に推移。ジェネリック医薬品事業も新興国市場を中心に42%増と急伸し、3%増の265億7600万ユーロと増収を確保した。

 サノフィ・パスツールのワクチン事業も、季節性インフルエンザ、パンデミックワクチンが着実に伸び、5%増の38億0800万ユーロとなった。

スイス・ロシュ

 昨年度に備蓄が急増した抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」の影響が大きく、売上高は3%減の474億7300万スイスフラン(CHF)となった。

 医療用医薬品事業の売上高は、5%減の370億5800万CHF。売上の中心を占める癌領域製品は、血管新生阻害薬「アバスチン」が9%増(現地通貨ベース)の64億6100万CHF、悪性リンパ腫治療薬「マブセラ/リツキサン」が9%増の63億5600万CHF、転移性乳癌治療薬「ハーセプチン」が7%増の54億2900万CHFと、主力製品群が好調に推移した。

 しかし、変動の大きい抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」は、昨年度に備蓄が急増した反動で、73%減の8億7300万CHFと大幅に売上を減らし、好調な癌領域製品の伸びでカバーできなかった。
ただ、利益面では、事業再構築費用などが減少し、純利益は4%増の88億9100万CHFと増益を確保した。

英アストラゼネカ

 主力品が新興市場で堅調な伸びを見せたものの、後発品が浸透する米国市場の落ち込み、H1N1パンデミックインフルエンザワクチンの売上がなかった影響で、売上高は横ばい(恒常為替ベース)の332億6900万ドルとなった。

 主力の抗潰瘍薬「ネキシム」は、米国市場の落ち込みを新興市場でカバーし、横ばいの49億6900万ドル。抗精神病薬「セロクエル」は徐放性製剤が牽引し、9%増の53億0200万ドルと堅調に推移した。また、高脂血症治療薬「クレストール」が24%増の56億9100万ドル、喘息治療配合剤「シムビコート」も20%増の27億4600万ドルと、二桁の伸びを示した。

 ただ、後発品の影響を受けた高血圧治療薬「セロケン/トプロールXL」が17%減、喘息治療薬「パルミコート」が34%減、抗癌剤「アリミデックス」が22%減と落ち込み、H1N1パンデミックインフルエンザワクチンの売上もなかったことから、売上高は横ばいにとどまった。

 利益面では、ライセンス料の支払いや製品構成の変化が影響し、営業利益は横ばいの136億0300万ドルとなった。

米イーライリリー

 主力品の堅調な伸びに加え、資産価値の減損や組織再編に伴う特別費用が大幅に減少し、増収増益を確保した。

 売上高は、6%増の230億7600万ドル。主力の抗精神病薬「ジプレキサ」は、価格低下や欧州・カナダでの需要減を日本の拡大などでカバーし、2%増の50億2600万ドルと堅調な伸びを示した。また、大うつ病・糖尿病性末梢神経障害疼痛治療薬「サインバルタ」が13%増、抗癌剤「アリムタ」が29%増と二桁成長を達成。糖尿病治療薬「ヒューマログ」も5%増と伸長し、増収に貢献した。第一三共と共同販売を行う抗血小板薬「エフィエント」は、1億1500万ドルとなった。

 利益面では、導入費用など研究開発費が膨らんだものの、資産価値の減損や組織再編に伴う特別費用が減少し、営業利益は17%増の65億3000万ドル、純利益は17%増の50億7000万ドルと増益となった。

米ジョンソン・エンド・ジョンソン

 米J&Jの医薬品部門は、後発品の浸透が激しい抗精神病薬「リスパダール」、抗てんかん薬「トパマックス」の落ち込みを主力品の伸びでカバーできず、0・6%減の223億9600万ドルと微減となった。

 製品別では、主力の抗リウマチ薬「レミケード」が7%増の46億1000万ドルと伸長。多発性骨髄腫治療薬「ベルケード」が16%増の10億8000万ドル、抗HIV薬「プリジスタ」が45%増の8億5700万ドルと新製品群も好調に推移したほか、リスパダールの徐放性製剤「リスパダールコンスタ」も米国外で切り替えが進み、5%増の15億ドルと売上を伸ばした。

 しかし、米国市場で後発品の激しい攻勢を受ける「リスパダール」が41%減、「トパマックス」が53%減と大幅に落ち込み、増収を確保できなかった。

米ブリストル・マイヤーズ・スクイブ

 主力のバイオ医薬品事業が伸長し、売上高は4%増の194億8400万ドルとなった。

 抗精神病薬「アビリファイ」は、1%減の25億6500万ドルと売上を減らしたが、主力の抗血小板薬「プラビックス」が8%増の66億6600万ドル、抗HIV薬「レイアタッツ」が6%増の14億7900万ドル、B型肝炎治療薬「バラクルード」が27%増の9億3100万ドルと好調に推移した。

 また、新製品の2型糖尿病治療薬「オングリザ」が約6・5倍増、抗リウマチ薬「オレンシア」が22%増、抗癌剤「スプリセル」も37%増と順調に売上を伸ばした。




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