日本調剤の三津原博社長、河野慎一専務は、久留米三井薬剤師会と日本薬剤師会から、久留米大学病院が導入を予定している“福岡市薬方式”によるFAXコーナー設置問題に関し、薬剤師会から回答があったとして、16日に都内で記者会見した。「(回答内容は)敢えて開示するほどのものでない」とし、今後、厚生労働省や社会保険事務局など行政への働きかけや、場合によっては公正競争取引協議会にも訴える可能性を示唆した。法的措置に関しては、「今後の問題」と述べるにとどめた。
会見の中で河野氏は、久留米三井薬剤師会と日薬の回答は、「ここで内容を敢えて開示するほどのものではない」としたが、「久留米三井薬剤師会の回答は極めて抽象的であり、そのような事実はないというもの。日薬からは2003年通知で指導しているなど、実質102行程度の内容に終始している」と憤りを見せた。
さらに“福岡市薬方式”は、[1]半ば強制的にFAXコーナーを使わせる[2]何の検証もなく1枚200円の徴収をする””とし、「会の集金マシーンと呼ぶしかない」と強調。また「各地で多額のFAX代金を支払ってきた。今後は原価計算を明確にすることや、余剰金のなど会計、税務両面で、各地の薬剤師会や日薬に情報開示を求めていく予定」とした。
また、FAX分業をめぐっては、「会営薬局との関連や、ジェネリック医薬品使用促進の阻害要因にもなる」などを取り上げ、引き続き問題提起していく方針を明らかにした。特に会営薬局については、「実態は個人薬局に過ぎないが、名前で患者を欺いている。あるいは(処方せんの)割り振りセンター的な機能を持ち、しかもFAXコーナーと連動している事例を何例も知っている。本質的な問題に踏み込んでいきたい」と述べた。三津原社長は、「行政、また日薬には即時FAX分業の中止、会営薬局および有志会営薬局の廃止を求める」と強く主張した。
一方、久留米大学病院のFAX分業につながる具体例として示した福岡大学病院と九州医療センターに関しては、「両病院の前では店舗展開しておらず、直接の利害関係にはない。福岡市薬方式を蔓延させることを問題視している」と述べた。「両病院の行為を含めて訴えていくか」との質問に対しては肯定し、病院側の責任について追求していく可能性も含ませた。
なお、日薬では以前からFAX送信の有用性は肯定しているものの、地域による運用が様々であることから、幹部の間には実態把握が必要との意見もあり、今後、日薬自ら全国的な実態調査を行う可能性もある。
■日調の主張に反論‐久留米三井薬が回答書
一方、日本調剤からの通知に対し久留米三井薬剤師会は11日付で、代理人の弁護士を通じて、日本調剤に反論する回答を送付した。回答書ではFAXコーナーについて、患者への処方薬交付の利便性を図るために運営・管理するもので、将来的には必要性に応じて縮小または廃止する予定だと明記した。
日調がFAXコーナーの運営・管理が法令に抵触する恐れがあると主張している点に対しては、「FAXコーナーの運営・管理に対する正確な理解を欠いていることが原因と思われる」と述べた上で、日調側に▽主張が正しいと思うなら、裁判所や関係各省庁へ申し立てを行うなど、速やかに法的手続きとるべきである▽法的手続きをとらずに風評を害する行為を継続し、同薬剤師会の正当な業務を阻害することがないよう警告する――とした。
なお、同薬剤師会幹部によれば、回答書の作成に当たっては、日調から法的問題の可能性を指摘された点について、1項目ずつ弁護士による検証を行ったという。
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