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【大手医薬品卸4社の11年3月期決算】売上拡大も大幅な減益‐「価格競争」が首絞める

2011年5月25日 (水)

 医薬品卸の2011年3月期決算は、各社増収大幅減益という結果となった。流通改善に加えて、新薬創出加算制度にも取り組んだ影響もあるだろうが、これまでにない減益の最大の理由に、卸間の価格競争激化を挙げる社長もいるように、卸業界は再々度、自らの首を絞める行為に走ってしまった。規模は大きくなったが商行為の未成熟性は否めないとも指摘されている。

 一方で、東日本大震災における被害は比較的少なかったところが多く、また、医薬品流通の社会的使命を果たしたことは多方面のメディアで紹介され称賛を浴びた。今後も社会的使命を果たしていくためには、投資に必要な利益を上げなければならないことを、全てのトップが強く認識していることは救いであり、これからの行動に注目が集まる。

メディパルホールディングス‐全国へのALC整備を推進

 連結売上総利益は1881億円(対売上比7・07%)、販管費は1745億円(6・56%)となった。震災による被害額は50億円(うちPaltac45億円)で、全てを特別損失に計上して、次期への影響をなくしている。

 セグメント別では、メディセオ事業の売上高が1兆8876億円、売上総利益1206億円(6・39%)、販管費169億円(6・20%)。Paltac事業の売上高が7347億円、売上総利益610億円(8・31%)、販管費523億円(7・13%)だった。

 熊倉貞武社長は、今回の震災で医薬品の安定供給がクローズアップされたことに関して、「卸の最大の役割は、物流がコアでなければならないという、メディパルの方向性に間違いはなかった」と強調し、全国へのALC整備を掲げている中期ビジョンを進めていく意向を述べた。

 また、渡辺秀一メディセオ社長は、12年3月期の取り組みとして、従来の薬価改定2年目ではないことと、前年の単なる延長線上ではないとの強い意識を持って、利益の確保に努めると強調。特に割戻し(基本リベート)の交渉を行って、仕入原価の確保を新たな取り組みとして始めるとした。

 12年3月期は、連結売上総利益1956億円(7・05%)、販管費1754億円(6・32%)を予定しており、メディセオ事業で売上高1兆9876億円、売上総利益1270億円(6・39%)、販管費1199億円(6・04%)、Paltac事業で売上高7462億円、売上総利益617億円(8・27%)、販管費496億円(6・65%)を見込んでいる。

アルフレッサホールディングス‐価格維持でメーカーと折衝

 連結売上総利益は、1431億円(6・55%)、販管費1338億円(6・13%)となった。総資産が1兆円を突破したほか、特別損失は50億円で災害分は12億円。

 卸売事業(丹平中田半期分含む)の売上高は2兆1666億円、売上総利益1333億円(6・15%)、販管費1256億円(5・79%)、製造事業の売上高252億円、売上総利益96億円(37・96%)、販管費88億円(34・94%)だった。

 石黒傳六社長は、薬価差縮小への取り組みについて、「12月までは相当踏ん張っていたが、最後の駆け込みで押し切られたことと、卸間競争の予想以上の激化で減益となった。今後、取引停止も含めて、価格維持について話し合い、仕切価も満足のいく下がり方でなかったし、アローアンスも厳しかった。これについてメーカーとしっかり話していきたい」と抱負を述べた。

 セルフメディケーション卸売事業では、10月1日付で事業統合が予定されている「アルフレッサヘルスケア」で収益力、サービス提供力の向上を目指すこととしているほか、製造事業では受託製造に注力する姿勢だ。

 12年3月期は、連結売上総利益1466億円(6・33%)、販管費1384億円(5・98%)を予定しており、卸売事業で売上高2兆3000億円、売上総利益1362億円(5・92%)、販管費1298億円(5・64%)、製造事業で売上高277億円、売上総利益104億円(37・73%)、販管費90億円(32・31%)を見込んでいる。

スズケン‐投資への利益確保が命題

 連結売上総利益は1652億円(9・43%)、販管費1598億円(9・12%)、震災による特損は17億円。

 セグメント別では、医薬品卸売事業が売上高1兆6671億円、売上総利益1083億円(6・49%)、販管費1127億円(6・76%)。医薬品製造事業が売上高683億円、売上総利益313億円(45・87%)、販管費256億円(37・44%)。保険薬局事業が売上高706億円、売上総利益246億円(34・88%)、販管費211億円(29・93%)。医療関連サービス等事業が売上高213億円、売上総利益30億円(14・22%)、販管費22億円(10・28%)だった。

 太田裕史社長は、減益の結果は卸間でのシェア競争が生じた結果であり、反省している。商売の仕方を考えないと社会的使命は果たせない。シェア攻勢を生まない価格ではない機能で競争すべきだ。投資へ回すための適正な利益確保が命題であり、4大卸がきちんと取り組むべきである」と訴えた。

 12年3月期は、連結売上総利益は1730億円(9・39%)、販管費は1699億円(9・22%)の予定で、医薬品卸売事業で売上高1兆7500億円、売上総利益1114億円(6・37%)、販管費1178億円(6・73%)、医薬品製造事業で売上高734億円、売上総利益325億円(44・28%)、販管費274億円(37・33%)、保険薬局事業で売上高758億円、売上総利益266億円(35・15%)、販管費233億円(30・79%)などを見込む。

東邦ホールディングス‐成長率より市場安定目指す

 連結売上総利益は861億円(8・13%)、販管費803億円(7・58%)で、震災関連損失は7億円。

 医薬品卸売事業の売上高は1兆0240億円、売上総利益649億円(6・33%)、販管費620億円(6・05%)、調剤薬局事業の売上高は666億円、売上総利益209億円(31・45%)、販管費174億円(26・08%)だった。

 濱田矩男社長は、今回の震災でシステムと物流が即座に対応できたことに関して、「有事に備えて準備していたことが結実した。社員もよく頑張った」と総括したほか、12年3月期の方針として、売上高は予想される市場の成長率を下回る1%程度として、「高い伸長ではなく、市場安定を目指して適正な利益を確保し、得意先ごとに区分して、価格の折り合いがつなかい得意先とは取引縮小、辞退も視野に入れて取り組む」との姿勢を示した。

 また、東邦薬品の河野博行社長は、医薬品卸売事業が初めて売上高1兆円を達成したことや、共創未来グループでは沖縄東邦によって全国ネットワークが完了したことを説明すると共に、フィービジネスであるメイサのMSプロモーション事業を活性化して、12年3月期には前期10億円を18億円にまで成長させる目標を語った。

 12年3月期は、連結売上総利益は922億円(8・58%)、販管費853億円(7・93%)の予定で、医薬品卸売事業で売上高1兆0340億円、売上総利益684億円(6・62%)、販管費654億円(6・32%)を見込む。




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