昨年度の国産新型インフルエンザワクチンが、大量に医療機関で余っている問題で、細川律夫厚生労働相は23日の参院決算委員会で、メーカーや医薬品卸業者などが行った医療機関からの返品買い取りによって、負担額が35億円に上ったことを明らかにした。藤井基之議員(自民党)の質問に答えた。
厚労省は例年、医療機関からのワクチンの返品を原則認めていない。しかし、昨年度は新型インフル対策として、国が5400万回分(約260億円)を買い上げ、各医療機関に供給したため、返品を認めた。
細川厚労相は、「今回の件では、業界の方にご迷惑をおかけしたと思っているし、ご協力をいただいたことは、感謝している。今回の件を反省し、これからそういうことのないようにしたい」と述べた。
また、有効期限が切れたため、破棄した国産と輸入を合わせた新型ワクチンの金額が、455億円に上ることも明かした。
細川厚労相は、新型インフル流行時には、ワクチンの需給が世界規模で逼迫していたため、「危機管理の観点から、やむを得なかったと考えている」とした上で、「今後はこの経験を生かし、余剰を最小限に抑えられようにしたい」との考えを示した。