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薬学教育の検証・再考の時期

2011年7月29日 (金)

 「完成年度を迎えた6年制の評価は」と問うても、「育ってきた学生がどうなのか分からない時点で評価はできない」というのが一般的な答えなのかもしれない。ともかく、来年4月には、新たな薬剤師国試に合格した薬剤師が誕生することになる。

 一方、新4年制過程卒業者でも経過措置として大学院修士修了後、プラスαの科目・実習を履修することで、国試の受験資格が個別的に与えられる。最短7年間での国試受験が実現する可能性もあり、想定外の早さに批判の声が挙がっている。

 国公立大学の学部長らが検討した結果、少なくとも「4+2+1」では不足だとした。しかし一部の私立大学では、当初から4年制で国試受験を想定したカリキュラムが組まれ、“最短7年間で受験”というスケジュールができあがっていた。

 ある私大“代表”は、「広く告知しており、今さら変更はきかない」と話す。大学を代表してとはいえ、経営との狭間で苦しい説明に終始する場面も見られた。

 このように今、様々な問題が噴出している。薬剤師認定制度認証機構の内山充氏は「6年制の評価は分からないという人がいるが、一種の責任逃れだ」と指摘する。

 できあがった卒業生がどうか、この先、きちんと評価する必要はあるが、「現時点で分かることもある。既に5年が経過しており、教育者側から浮かんできたことを集めて評価すべき」と話す。

 さらに、6年制教育の「全体像」自体は正しかったが、重要なのは「4年が6年に伸びた。2年が加わったというやり方は間違っている」と、本質論を展開する。

 また、医学教育を真似た“共用試験”には厳しい。特に「CBTは国試が2度あるようなもので、教育内容への影響が大きい。OSCEは薬剤師には合ってないのでは」と懐疑的。

 OSCEが導入されたことについて内山氏は、6年制以前の薬剤師教育では、大事な“知識、技術、態度”のうち、“態度”が抜けており、それが極めて重視された結果だという。態度は心構えから生まれるもので、「学習」するものではないということだ。

 つい最近、私大6年制の5年生に「結構暇なんです」と想定外のことを言われ、ショックを受けた。また、ゆとり世代だとも苦笑する。むしろ教員が実務実習に絡む準備、試験等に追われ“ゆとり”に飢えている。その学生も同意見だった。学生数を含め、教育体制の歪みは明らかだ。

 完成年度を迎え、各種の取り組みが一巡した今、4年制との違い、国民・患者の期待感を含め「6年制」のあり方を検証する時期にきている。ある4年制の3年生に、他学部との競争の中で修士を修了した後、製薬企業の開発に進みたいが、“売り”は何だろうと聞かれ、答えに窮した。この点も再構築する必要があろう。




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