薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は、中外製薬の抗癌剤「アバスチン」の乳癌への適応拡大と、季節性の「インフルエンザHAワクチン」の小児用量の変更について審議し、アバスチンは、有効性の再現性に委員から疑義が出たため、継続審議となった。インフルワクチンは承認が了承された。周知期間を確保するため、通常は部会後1カ月をメドとする正式承認が早まる可能性もある。
アバスチンは、ベバシズマブ(遺伝子組み換え)を有効成分とする抗VEGFヒト化モノクローナル抗体で、国内では結腸・直腸癌や進行性非小細胞肺癌などの適応を持つ。
今回は、手術不能または再発乳癌に対するパクリタキセルとの併用の追加について審議したところ、有効性の根拠となる海外での第Ⅲ相臨床試験の再現性を確認すべきとの意見が出たため、厚労省が申請者、座長と相談して今後の対応を判断することになった。海外では、4月27日時点で84カ国・地域で乳癌の適応が認められている。
インフルエンザワクチンの小児用量の変更を申請した企業は、化学及血清療法研究所、阪大微生物病研究会、デンカ生研、北里第一三共の4社。
現行では、1歳未満は0・1mL、1~6歳未満は0・2mL、6~13歳未満は0・3mLをそれぞれ2回接種する用量が設定されているが、WHOの推奨用量に乖離があったため、3歳未満で0・25mL、3~13歳未満に0・5mLをそれぞれ2回接種する用量に変更する。
ただ、3歳未満については、北里第一三共のみ1歳以上を対象とし、その他は6カ月からの対象となる。投与間隔も、現行の1~4週間から、2~4週に変更する。