協和発酵キリンは、米バイオ企業のアーキュール社から導入した抗癌剤「ARQ197」について、非小細胞肺癌を対象としたアジア共同第III相試験を開始した。日本、韓国、台湾で460人の症例数を目標に実施し、2014年第3四半期の国内承認申請を目指す。
「ARQ197」のアジア共同第III相試験は、「ARQ197」+エルロチニブ併用群と、プラセボ+エルロチニブ併用群を比較する二重盲検比較試験。主要評価項目に全生存期間を設定し、日本、韓国、台湾で、進行・転移性の非小細胞肺癌患者460人を目標に実施する。既に第一例目の被験者が登録され、「ARQ197」の投与がスタートしている。
日本、韓国、台湾で実施するアジア共同第III相試験に当たっては、アジア人の15~20%で「ARQ197」の代謝が遅い特徴が見られることから、薬物代謝酵素CYP2C19の遺伝子多型によって、2種類の用法・用量を設定。代謝が通常であれば360mgを、遅い人であれば240mgを投与する。
「ARQ197」は、米アーキュールが創製したc‐Met阻害剤。07年4月に協和発酵キリンが、日本・中国・韓国・台湾での独占的開発・販売権を取得し、開発を進めていた。現在、進行・再発胃癌を対象としたアジア共同第II相試験も実施中。