
小宮山厚労相
小宮山洋子厚生労働相は12日、専門紙記者団との就任会見で、医薬品・医療機器産業の現状について、「規制上の対応やバックアップが足りず、世界の中では非常に厳しい状況下で、研究開発が行われているという認識を持っている」と述べた。今後の課題には、▽臨床研究・治験環境の整備▽承認審査の迅速化と質の向上▽イノベーションに対する薬価上の適切な評価――を挙げ、「ぜひ官民の力を合わせてしっかりやっていきたい」と、産業界と共に積極的に研究開発を推進していく意向を示した。
小宮山氏は、医薬品・医療機器が新成長戦略で成長牽引産業の一つに位置づけられ、担当副大臣として税当局と折衝した昨年度の税制改正に触れ、「税制の優遇は最後まで絶対に譲らずキープした部分」と振り返り、医薬品・医療機器産業には「それだけの力はある」と、期待感を示した。
また、新幹線などの日本の技術を、政府と民間が合同で海外に売り込む動きについて、「医薬品や医療機器も、非常に有力な分野だと思う」とした。
産業界との意見交換については、「意義があることだと思う」「副大臣室にはよく来て話をしていたし、大臣になってもお会いする」と前向きだ。ただ、「正式に何かを作らなくても、意見交換はいろいろな形でやればいい」とも述べており、民主党政権になって中断している官民対話の再開は不透明だ。
このほか、日本医師会などが見送りを主張している来年4月の診療報酬・介護報酬の改定について、小宮山氏は「6年に一度の同時改定で、社会保障改革全体にとっても大きなテーマの一つだ。やらなければならないこと」と明言した。
予算編成課程で内閣が決定する改定率は、「今、方向性を申し上げることは難しい」としながらも、「苦しい財政状況の中で、大きくということはあり得ないが、少しでも積んでいきたいという気持ち」と、プラス改定に意欲を見せた。
改定内容については、▽医療・介護施設の機能分化の推進▽地域での連携体制の構築▽地域包括ケアの実現に向けた在宅医療や介護の充実――について、議論を進める必要性を指摘した。