厚生労働省研究班が日本小児科学会、日本小児科医会の会員を対象に実施したアンケート調査で、不活化ポリオワクチン(IPV)を個人輸入する医療機関が、今年1月から急速に増加し、被接種者は7月までに1万7091人に達していることが分かった。使用したワクチンは、ほとんどがサノフィ・パスツール製の単価ワクチンだった。ただ、個人輸入は依然として一部にとどまり、多くの医療機関では今後も予定がなかった。
調査によると、IPVを接種しているのは76診療所、9病院で、回答した約3700施設の数パーセントだった。開始時期は約9割が今年に入ってからで、1月から7月まで毎月10施設程度ずつ増加している。
新規接種者も毎月増えており、7月には病院で340人、診療所で3708人が接種を開始した。方法は、IPVのみを接種するのが84.5%で、残りはIPVの後に生ワクチンを併用している。ワクチンの管理については、全施設が適切な温度で管理していると自己評価していた。
ワクチンメーカーは、全ての病院と診療所の94.8%がサノフィ・パスツールだった。
健康被害への対応では、全ての病院と診療所の94.9%が補償制度のある輸入代行業者を利用していた。接種1回の料金は、4000~5000円が57.1%と最も多かった。
一方、IPVを導入していない医療機関で、個人輸入を今後予定しているのは病院の1.2%、診療所の3.0%だったが、これまで患者からIPV接種の希望があったかを質問したところ、病院の47.3%、診療所の62.4%が「ある」と答えている。研究班は、「IPV希望者は、接種実施施設数に比してかなり多いものと推察された」としている。
OPVの接種減少
一方、経口生ポリオワクチン(OPV)については、厚労省の調査で4~6月の接種が前年同期に比べて17.5%減少している。全国の1607市区町村の報告を厚労省が集計して明らかになった。出生数は前年度とほぼ同じであることから、IPVの導入を待って接種を控える動きを反映したものと見られる。
地域別の前年同期比は、北海道18.0%減、東北19.6%減、関東22.4%減、中部10.4%減、近畿18.0%減、中国四国14.7%減、九州16.1%減だった。