日本病院薬剤師会学術委員会学術第6小委員会(委員長:橋田亨神戸市立医療センター中央市民病院薬剤部長)は、卒後の病院薬剤師のレジデント制度について、国内の各病院が構築する制度の概要を調べ、今月末までにWebサイトでその一覧を公開する予定だ。
病院薬剤師のレジデント制度とは、大学卒業後に1~2年間、病院で薬剤師として働きながら教育を受け、臨床薬剤師としての能力向上を図るもの。国内では現在、20病院以上がレジデント制度を構築していると見られる。
公開するWebサイトには日本地図を表示。各地に立つピンマークをクリックすると、▽病院や薬剤部の基本的な情報▽募集期間▽処遇▽試験内容▽教育プログラムの特徴――など、その病院における詳細なレジデント制度の内容が表示される仕組みにする。米国のWebサイトを参考にした。
同委員会の各委員が所属する6病院・大学における制度の概要は、既にWebサイトに登録済み。今後、他の病院に登録を呼びかけ、今月末までにWebサイトを公開する計画だ。
薬学生や、薬系大学の進路指導担当者にとって、どこの病院がどんなレジデント制度を構築しているのか、分かりやすくなる。また、新たに制度構築を計画している病院にとっても、この情報は参考になる。
同委員会ではこのほか、これまで同制度を展開してきた各病院を対象に調査を行って、レジデント制度の成果についても明らかにしたい考え。橋田氏は「医師の臨床研修制度、米国の薬剤師のレジデント制度を参考にした、6年制薬学教育における卒後薬剤師研修制度の確立に向けた議論を促すことにつながればいいと思う」と説明した。
また橋田氏の施設では、2009年度からレジデント制度を開始した。医療薬学一般コースと医療薬学専門コースを設け、処遇月額は20万円。「1年目からチーム医療に関わることができる教え方をしている。臨床業務への関わりが、通常通り採用した薬剤師より早い。3年間かけて教えることを1年間で教えるイメージ」という。学会発表などにも挑戦させている。