
ツムラは10日、取締役執行役員コーポレート・コミュニケーション室長の加藤照和氏を新社長に昇格させる人事を発表した。
現社長の芳井順一氏は取締役会長に退く。6月28日の取締役会と株主総会で正式決定する予定。
新社長に内定した加藤氏は、都内で記者会見し、「芳井社長の経営方針を踏襲し、医療用漢方製剤のリーディング企業として役割を果たしていきたい」と抱負を述べた。
また、今後取り組む事業課題として、▽高齢者医療における漢方医学の浸透▽国内での生薬栽培▽漢方薬のエビデンス構築▽人材育成――の四つを挙げ、これら施策の実現に向け、「漢方医学の重要性が増す中で、意思決定のスピード感を大事にしていきたい」と抱負を語った。
今年で65歳の社長定年を迎える芳井氏は、「社長在任中の8年間で、大学のほぼ全てに漢方医学の教育を取り入れることができた。ツムラが目指す西洋医学と漢方医学の融合が、ほぼ達成に近いところまできた」と成果を強調。
さらに、新社長に加藤氏を起用した理由については、「経理に明るく、米国子会社の社長として、短期間で事業を軌道に乗せた経営手腕がある。ツムラの役員の中で最もバランス感覚が秀でている」と高く評価した。
加藤氏は、1963年8月生まれの48歳。86年3月に中央大学商学部卒業後、4月に津村順天堂(現ツムラ)入社、01年8月にツムラUSA取締役社長に就き、06年1月に広報部長、11年6月から取締役執行役員コーポレート・コミュニケーション室長を務めていた。