厚生労働省が2011年度版「ジェネリック医薬品使用促進の先例事例等に関する調査報告書」を発表した。
2回目となる今回の調査では、沖縄県、鹿児島県、山口県、兵庫県、秋田県の5県を取り上げた。後発品使用促進のポイントとして、▽医療機関では薬剤部の責任者が推進力となっている▽保険薬局では採用品目の決定や在庫管理の情報が鍵――などが分かった。また、インタビュー調査から、メーカーには患者の視点に立った改良や、調剤時の医療安全対策のための製剤上の工夫が求められることが課題として浮き彫りになった。
事例は以下の通り。
沖縄県
数量ベースの後発品使用割合が全国で最も高く、10年度には35・9%(全国平均22・4%)となった。関係団体で様々な取り組みを行っている。薬剤師会では、「不動在庫・備蓄ネットワークシステム(MEDISS)」を導入し、会員薬局間で情報共有ができるようにした。
国民健康保険団体連合会では、09度年から後発品普及促進事業に取り組み、10年から「ジェネリック差額通知書作成業務」を開始した。差額根拠が分かるよう、照会対応も充実している。
鹿児島県
08年度から「鹿児島県後発医薬品安心使用協議会」を設置し、病院における後発医薬品採用リストの作成・公開をしている。また、11年度からはモデル地区を選定し、地域主導による協議会運営に取り組んでいる。医療機関では、医師に後発品へ切り替えた場合に発生する実際の差額を見せて理解を得てきた。薬剤師会では各支部にIT担当者を配置し、システムを通して保険薬局等で後発品の備蓄情報を共有できるよう支援を行っている。
山口県
08年度に「山口県後発医薬品使用促進連絡会議」を設置。医療関係者だけでなく、保険者や消費者団体の代表者が委員として参画している。09年度から毎年、医療関係者向けセミナーの開催、県民への啓発用ポケットティッシュの配布などを実施している。
08年度の後発品使用割合(数量ベース)は16・4%だったが、11年末には24・4%まで増加した。薬剤師会では医療圏別薬局採用後発医薬品リストを作成し、医療機関向けに公開している。リストにより、どの後発品が多くの薬局で採用されているか地域単位で把握できる。
兵庫県
10年度から12年度まで3年間、年度目標と実施計画を具体化した。後発品の採用基準に関する調査結果を公表するといった取り組みを進めている。薬剤師会では後発品に関する情報を記載した卓上プレートなど、薬剤師が患者に説明するためのツールを作成。医療機関では薬剤部が後発品の情報を集め治療効果を検証し、医師が安心して後発品を使用できるよう取り組んでいる。
秋田県
医薬分業率が最も高いが、後発品使用割合は最も低い。10年3月に「秋田県医薬品等安全安心使用促進協議会」を設置。運営に県医師会が積極的に参画しているのが特徴。薬局は処方箋から後発品に変更できる医薬品の有無を確認し、患者に変更できることを伝えている。また、患者が変更を希望しない場合でも、薬袋に記載した先発品の横に「ジェネリックに変更できます」という判子を押している。