IT化で作業時間を短縮‐地域医療への貢献目指して
土佐薬局(大阪府寝屋川市緑町)は、寝屋川市の下町の古くからの住宅街に立地する。従って、患者層は高齢者が大多数を占めており、一人暮らしのお爺ちゃん、お婆ちゃんの姿も珍しくない。院外処方箋枚数は1カ月に1000枚強で、患者の年齢層からも循環器系疾患のものが多い。同薬局では、今年2月から最新の保険薬局用コンピューター「ファーネスII‐MX」を導入し、薬歴作成の作業時間を短縮することで、経営の効率化とさらなる地域医療への貢献を目指している。
土佐薬局は、林道廣氏が夫人の両親から受け継いだ昔ながらの地域密着型相談薬局である。地元からの信頼も厚く、近隣の医療機関はもちろん、寝屋川市内や隣接する枚方市の病院に電車やバスで通っている地元患者も、院外処方箋を持って同薬局を訪れる。
土佐薬局が本格的に調剤業務に取り組んだのは、13~14年前からだ。現在のスタッフは薬剤師4人で、調剤業務をはじめとする様々な薬剤師業務に従事している。
同薬局の患者の年齢層は70~80歳が多数を占めるが林氏は、「一人暮らしのお爺ちゃん、お婆ちゃんが非常に多い。われわれスタッフは、孫のような感じで接していただいている」と説明する。その上で、「服薬指導以外にも、いろいろとお話し相手になることで人間関係を築けるように心がけている。患者さんとの意思疎通が、服薬コンプライアンス向上に大きくつながっていると考えている」と胸を張る。
さらに、「一人暮らしでリウマチなどの足の悪い患者さんでは、院外処方箋をFAXで送ってもらえば、処方して自宅に出向き、服薬指導を行っているケースも少なくない」と話す。このような患者に対する細やかな気遣いは、同薬局が地域住民から高い評価を受けているバックグラウンドとなっている。
きめ細やかな服薬指導‐個々の情報を一目で把握
土佐薬局がファーネスII‐MXの導入に踏み切ったのは今年2月から。林氏は、その理由を「保険薬局用コンピューターの導入により、薬歴の記載をはじめとする薬局業務を軽減し、経営の効率化とさらなる地域医療への貢献を目指すため」と話す。
ファーネスII‐MXは、パナソニックの医療ITの最新システムで、データベースを一元化してレセプトコンピューターと電子薬歴を完全融合していることを大きな特徴とする。これにより、シームレスなレセコン入力と電子薬歴入力、および疑義照会後の処方修正などのスムーズな流れを実現した。
「服薬指導」「薬歴表紙」「ハイリスク薬指導」の三つの基本画面で構成された電子薬歴も見逃せない。電子薬歴のメイン画面である「服薬指導」画面は、患者の薬歴情報をひと目で把握することができ、薬歴のスピーディーな入力をサポートする様々な機能が備わっている。
「薬歴表紙」画面では、既往歴や他科受診など、患者個々の情報をひと目で把握できる。「ハイリスク薬指導」画面は、「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン(第2版)」の確認事項に準じた項目について、患者に確認した結果の時系列な入力・参照を可能とする。
また、テンプレート入力や、くすりのしおりと添付文書のデータベース、調剤録のペーパレス可の機能も薬局業務の軽減に寄与している。
土佐薬局では、ファーネスII‐MXを導入して約半年が経過したが、林氏は、「うちのような個人薬局でも思い切って設備投資してよかった」と評価する。その理由を「患者さんが帰られた後に、薬歴の作成を持ち越すことがなくなり、残業時間が大きく減少した。経営の効率化に大きく寄与している」と断言。一方、スタッフの薬剤師も「主婦の方が多く、早く帰宅できるので喜んでいる」と話す。今後、作業短縮で余った時間は、「研修会に充てることも考えている」という。
また、土佐薬局では、サーバーとノートパソコンを無線LANで接続しており、「患者さんによっては、そばまで行ってノートパソコンによる服薬指導も行っている」と説明する。同システムのシンプルで使いやすい画面と、安全性を配慮した豊富なチェック機能によって、「一人ひとりの患者さんに迅速できめ細やかな服薬指導ができるようになった」
林氏は、夫人の両親の薬局を受け継ぐために、橋の設計士から薬剤師に転身した経歴の持ち主で、「直接患者さんの声が聞ける薬剤師の仕事に従事して、物作りとは違ったやりがいを感じている」と満面の笑みを浮かべる。土佐薬局では、ファーネスII‐MX導入によって今後もよりよい医療を提供することで、さらなる地域医療への貢献を目指す。
パナソニック ヘルスケア株式会社
http://panasonic.biz:80/healthcare/medicom/med/pharnes2mx/index.html