日本の周りの海がうるさいことになっているが、その対国家、対外国人は国に任せるとして、日本の国民は急いでやらなければならないことがある。未曾有の被害をもたらした東日本大震災での教訓を生かした首都直下型大地震や東海・東南海・南海大地震への備えだ。
9月4日に東京都災害医療審議会が、災害医療体制のあり方について報告をまとめた。概要は、[1]2区分から6区分にフェーズを細分化して、発災後の状況変化に応じた関係機関の役割分担を明確化[2]二次保健医療圏を単位に災害医療体制を構築(都、地域、区市町村で災害医療コーディネーター設置)[3]医療機関・医療救護所の役割分担[4]各災害医療コーディネーター間の情報連絡体制の構築[5]医療支援・受援体制[6]搬送体制[7]医薬品・医療資器材の確保[8]今後の方向性――となっている。
現在作成中の新地域防災計画における医薬品供給体制に関しては、これまでの「支援物資中心」から平時と同様の「卸中心」へ、支援物資は都が要請したもの以外は基本的に受け入れないという考え方、方法に転換させたことが大きなポイントだ。
これは、昨年実施された「東日本大震災被災地における医療物資の供給実態調査」から、県の一次集積所、市町村の二次集積所での物流停滞が課題として挙げられたことによる対応だ。
被災地では行政職員が発注や仕分けなどを行ったことによって、未経験から効率の低下を招いたほか、市町村ではストックセンターの設置、県との連絡方法を規定していなかったところが多く、機能を果たせなかった。
実態調査ではそのほか、医薬品卸は機能回復は早かったものの道路事情などで本来の機能を活用することができなかったこと、薬局の業務再開が遅くなったことから、病院等にその負担がかかり通常業務への妨げになったことが課題として指摘されている。
病院・診療所・薬局への医薬品の発注・供給は、災害時でも通常通りの卸を介した体制になるが、医療救護所、避難所(OTC薬のみ)で使用する医薬品に関しては少し異なる。医療救護所等からの発注は、区市町村ストックセンターが一括して受けて卸へ発注する。救護所へは直接卸が運ぶが、避難所分はストックセンターへ運び、そこから区市町村が供給する仕組みとなっている。
医療施設を持っていない都内60区市町村は、医薬品の発注などの経験がない。今後、3日分の備蓄(卸復旧の目安)、発災後の調達に関する卸との協力協定を締結していくが、都は卸選定の参考として、卸の諸情報を区市町村に提供していく方針だ。
古くから「備えあれば憂いなし」ということわざが使われてきたが、災害大国日本では、災いは忘れる前にもやってくる。喉元過ぎても熱さを忘れてはならないのだ。