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癌幹細胞を標的に

2012年11月14日 (水)

◆これを聞いたとき「癌に幹細胞などあったのか」と思った。中外製薬が先月、世界で初めて大腸癌幹細胞の細胞株を樹立したと発表した。患者から摘出した大腸癌組織を免疫不全マウスに移植した後、「LGR5」と呼ばれる膜蛋白質を指標に幹細胞を取り出し、細胞株の樹立に成功した
◆癌の根治が難しい原因には、少数の癌幹細胞が性質を変化させて治療に抵抗して残存し、生体環境が癌幹細胞に都合が良くなると増殖を再開するメカニズムがあること。中外の実験結果からも、再発や転移、薬剤耐性などに癌幹細胞が関与している仮説が裏づけられた
◆これが本当なら、有望な創薬標的になる。大日本住友製薬は米ボストンバイオメディカルを買収し、癌幹細胞標的の低分子抗癌剤を獲得。一方、エーザイは、米バイオベンチャーと癌幹細胞を標的とする新規Wntシグナル阻害剤創出に向けた共同研究契約を結んだ
◆癌は製薬会社にとって最大の重点疾患領域。癌幹細胞を特異的に攻撃する治療薬がもし生まれるとすれば、特効薬としての期待も膨らむ。



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