さて、日本薬剤師会は今年4月をもって公益社団法人に移行した。薬剤師の職能団体が公益性を認められたことは、薬剤師の社会的役割から大変意義のあることであり、改めて社会的責任の重さを感じている。また、6月には、薬剤師を取り巻く環境の変化や将来予測を踏まえた薬剤師の将来ビジョンを策定し、その暫定版を公表した。
来年6月には、本会は明治26(1893)年創立以来120周年を迎え、これを機に記念式典、会館建設のほか記念事業を実施する予定だが、医薬分業の推進を中心とする薬剤師職能確立のために奮闘された先人の苦労を偲ぶと共に、オール薬剤師の会員にとって、将来ビジョンに示された薬剤師の目指すべき姿を求め、来たるべき超高齢社会に貢献できる体制づくりを進めて、さらに一段上の役割と責任を果たしていきたい。
来年4月から、今後5年間にわたる都道府県による新たな医療計画(5疾病5事業および在宅医療)がスタートする。国より示された「医療計画作成指針」に基づいて策定作業が行われているが、今回新たに加わった精神疾患については、薬物治療が重要とされている。
さらに、5事業とは別に加わった在宅医療に関しても、多職種が連携したチーム医療への取り組みに対して、病院薬剤師とともに薬局・薬剤師が積極的に関わることが求められる。また、薬剤師が在宅医療を含む地域医療に参画するためには、その支援組織としての地域薬剤師会の組織強化が不可欠だ。
来年は、多くの都道府県薬剤師会が新法人への移行を予定しているが、この機会に、オール薬剤師の会としての組織強化、そしてチーム医療の観点から、都道府県薬剤師会レベル、および地域支部レベルの三師会・四師会との連携強化、さらに、在宅医療推進のための病院薬剤師との地域薬薬連携強化等を推進していきたいと考えている。