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伊勢神宮の謎‐作家 高田崇史

2014年1月6日 (月)

薬剤師主人公が歴史の闇に疑義照会

作家 高田崇史

作家 高田崇史

 明けましておめでとうございます。

 大学を卒業して薬剤師となって三十余年。そして、作家デビューして十五年。相変わらず畑違いの分野で、主に薬剤師たちが主人公の歴史ミステリなどを書いています。

 ぼくも長い間、OTCや調剤のカウンターに立ってきましたが、実はミステリなどの謎解きは、患者さんと相対している状況と、非常に似通っているのです。

 特に漢方は、それが顕著です。まず患者さんを望診して、尋ねて、陰陽、表裏、虚実、寒熱を慮り、その病を特定していくわけです。そしてその本人も含め、通常の人であればあっさりと見落としてしまうようなほんの小さな疑問点から、その裏に潜んでいた大きな病を発見する──というようなことは、どなたも経験なさっていることと思います。

 事実(?)ぼくの小説では「乳棒が調剤台から転がり落ちた」とか「部屋に入った途端に、顔が赤くなってしまった」などという些末な出来事が、事件を解決するヒントになったというようなミステリも書きました。

 これらも、ほんの小さな鍵が壮大な謎に繋がって行くというストーリーなのですが、今回はお正月ということで、伊勢神宮のお話など──。

謎が謎呼ぶまさに洪水

 すでに皆様も初詣に行かれたことと思いますが、初詣といえばやはり神社。そして神社といえば、シンプルな「神宮」という呼び名が正式名称の伊勢神宮でしょう。

 去年、伊勢神宮では二十年に一度の遷宮が執り行われました。

 正殿や御垣内(みかきうち)の建物を全て新造し、さらに装束や神宝までも新しくするという、大変な行事です。しかもこの行事は遙か昔、持統天皇四年(六九〇)から延々と続いているというのですから、想像を絶するような歴史をもっています。ちなみに去年(平成二十五年)の式年遷宮は、第六十二回でした。

 このように、古い歴史を持つ伊勢神宮ですが、実は大変多くの謎を秘めています。いや、古い歴史を持つ神社であれば当然いくつかの謎は持っていますし、それが「深秘(じんぴ)」となって、神社の歴史に彩りを与えてくれます。

 しかし、伊勢神宮に関してその謎を追って行くと、歴史の彩りなどというレベルの話ではなく、謎の洪水に溺れてしまいそうになるのです。その上、「一般には謎と認識されていない謎」まで出てくるので、全く収拾がつかなくなってしまいます。

伊勢白粉は梅毒に効く?

 江戸時代からの隠語で「伊勢参り」という言葉がありました。これは何を表していたのかといえば「駆け落ちする」ということでした。また「伊勢にする」という隠語は「なかったことにする」という意味でした。皇室の祖神である天照大神を祀っているはずの伊勢神宮が、なぜこのような隠語になったのでしょうか。

 そもそも「猫も杓子も伊勢参り」といわれるほど、江戸時代には伊勢参りが盛んになったわけですが、果たして当時の人々はそれほどまで信心深かったのでしょうか。

 実を言えばこれはあくまでも表向きの理由で、当時伊勢は「日本三大遊郭」の一つに数えられていました。しかもそこには、当時としては画期的なことに「女性向けの遊郭」もあったといいます。

 また「伊勢白粉は、梅毒に効く」と言われ、伊勢参りに出かけた大勢の参拝客が買い求めたとも伝えられています。しかしどう考えてみても、水銀を主成分として作られた「伊勢白粉」が梅毒に効くはずもありません。では、どうしてそんな評判が立ったのでしょうか。この紙面では書ききれませんが、実はこれもきちんとした裏付けがあるのです。


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