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漢方シリーズ「未来社会への漢方的アプローチ」[1]‐慶應義塾大学教授 渡辺賢治

2014年3月20日 (木)

渡辺賢治氏 略歴

 1984年3月慶應義塾大学医学部卒業、同年4月同医学部内科学教室、90年4月東海大学医学部免疫学教室助手、91年12月米国スタンフォード大学遺伝学教室ポストドクトラルフェロー、95年5月北里研究所東洋医学総合研究所、01年5月慶應義塾大学医学部東洋医学講座(現漢方医学センター)准教授、12年11月奈良県立医科大学客員教授、13年4月から慶應義塾大学環境情報学部並びに大学院政策・メディア研究科教授(医学部兼担教授)、現在に至る。

 主な学会活動は、日本内科学会総合内科専門医、米国内科学会上級会員、日本東洋医学会学術教育委員会委員長、日本東洋医学会専門医・指導医、東亜医学協会理事、日本漢方医学研究所理事。

 主な社会的活動は、WHO ICD改訂委員、WHO伝統医学分類作成共同議長、厚生労働省社会保障審議会統計分科会疾病・傷害及び死因分類専門委員、神奈川県顧問、奈良県顧問、神奈川科学技術アカデミー顧問、神奈川県漢方理解促進等検討部会長漢方産業化推進研究会アドバイザー。


改めて考える『今なぜ漢方か?』

渡辺賢治氏

渡辺賢治氏

 新しい年を迎え、お屠蘇気分も醒めやらないが、日本の将来を考えると、そう浮わついたことを言っているわけにはいかない。以前一度、本連載をお受けし、漢方の可能性について書かせていただいたが、今回はもう少しマクロの目で、ということで新たな連載をお受けした。

 昨今の日本の状況を見ていると、本当に将来が心配である。2013年9月の敬老の日に合わせて総務省が発表したデータによると、日本の高齢化率(65歳以上人口の割合)は25%に達した。そして75歳以上人口が12・3%と発表された。国立社会保障・人口問題研究所による人口の将来予測は幅を持って示されるが、高齢化予想は以前の予想を上回る速度で進んでいる。

 幅はあるものの、2050年には65歳以上人口がおおよそ40%、75歳以上人口が同じく25%に達する。人口ピラミッドは、1950年代はてっぺんが尖った本当のピラミッドであった。しかし、2050年には逆ピラミッドになる。このような社会は人類史上誰も経験したことがないものであり、元来の社会システムそのものを大きく変えない限りは、乗り越えることは不可能であろう。

 特に医療費に関しては、予想をはるかに超えて高騰を続けている。高齢化なので仕方がないと思っていたら、12年10月の日本経済新聞の記事によると、医療費高騰の一番の要因は医療の高度化だという。では医療をどのように転換すれば、この国が持続可能になるのであろうか?

 そうした将来に対する医療・社会への危機感は一部の人しか有しておらず、もしくは知っていても発言・行動しておらず、日本人特有の「問題の先送り」がここでもなされているように思う。

 今、社会の中心で働いている人たちにとって、2050年は遠い未来の話かもしれない。かくいう私も、おそらく草葉の陰である。しかし、今年成人式を迎えた人たちにとって、2050年はまだ定年前の社会の中心的存在である。彼らにすべての責任を押しつけていいのだろうか?

 私は現在、慶應義塾大学環境情報学部で主に活動しているが、学生の講義は慶應、東大、奈良医大の医学部および慶應の薬学部で担当している。教員としては若い人たちを前に夢を見せるようなことを発言しなくてはいけないのだが、つい「君たちの未来は暗い」と言ってしまう。

 先日は、これから大学を受験しようという高校生にまで「君たちの未来は暗い」と言ってしまい、反省しきりである。これは決して問題を先送りして、若者にすべての責任を押しつけようとしているわけではない。むしろ確実にやってくる未曾有の超高齢社会に向けて、老いも若きもきちんと認識して一緒になって解決策を考えていく必要があるという、危機感からの発言とお許しいただきたい。

 偉そうなことを言っても、ではどうすればよいのか、という案が考えられるほど頭脳明晰ではない。しかし、これからますます進む高齢化ならびに医療費高騰に対して、漢方の果たす役割は大きいと考えている。

 この場合の「漢方」は、薬物療法に限らない。日本東洋医学会における「漢方」の定義では、薬物療法のみならず、鍼灸、養生も含まれる。何よりも重要なのは「漢方の考え方」であり、これこそ長年日本で培われた健康文化だと思っている。本連載では人ごとでは済まされない日本の将来への不安に対して、漢方がどのように役立てるのか、もしくは活用すべきなのかを一緒に考えていただければと思う。


 この連載の続きは、薬事日報 本紙と電子版でご覧いただけます。

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