旭化成は4月1日付で、子会社の旭化成ファーマ社長を兼務する浅野敏雄執行役員を社長に昇格させる。東京大学薬学部出身の61歳。同社にとって医薬品分野から初のトップ就任になる。旭化成ファーマの社長人事は3月の定期異動時に発表する予定という。
伊藤一郎会長は24日の会見で、浅野氏を充てる理由として、骨粗鬆症治療薬「テリボン」や血液凝固阻止剤「リコモジュリン」の開発に携わり、好調の医薬品事業を引っ張ってきたことを挙げ、「医薬事業は長らく苦労を重ね、今から10年ほど前に売ってしまおうという時期もあったが、それを凌いで、メガファーマでなくても何年かに一度新薬を出せれば医薬品事業を十分やっていけるということを証明してくれた」と説明した。
一方、浅野氏はこれまでの経験を振り返り、「一番うれしかったのは新薬の承認を得て、多くの患者の治療に貢献していることを実感した時」と語った。
今後の展望については、「私の仕事はヘルスケアを第3のマザー事業と言われるくらいまで伸ばすこと」と述べ、ヘルスケア領域をケミカル・エレクトロニクス領域や住・暮し領域に次ぐ第3の柱に育てる意気込みを示し、「高齢化に伴って医薬品・医療機器のニーズはどんどん変化している。また、様々な発明・発見もある。非常にわれわれのチャンスのある領域」とした。