日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は設立15周年を迎えたことから先月、都内で記念式典を盛大に開催した。多数の国会議員、厚生労働省や経済産業省をはじめとした行政、そして薬剤師会など業界団体の来賓からは、さらなる発展に向けての期待の言葉が相次いだ。
ドラッグストア業界を代表する団体として、1999年6月に設立された同協会。15年間の細かな足跡はここでは触れないが、発足当時は薬剤師不在(不足)問題による行政指導強化の動きの中で、人材育成も含めたセルフメディケーション推進の啓発事業に注力する。さらに、医薬品販売制度や改正薬事法の検討も始まった中では、薬業各団体とも連携し、その実現に大きな役割を果たしたのは記憶に新しい。
JACDSでは、正会員のほか会員外の企業も対象に、独自の実態調査を毎年行っている。第1回の2000年度調査では、全国の総店舗数は1万1787店で、第14回の13年度には1万7563店となり、店舗数は調査開始から10年以上にわたり増加を続ける。売上高(推計値)については、13年度は6兆0097億円であり、前年対比で1・2%となった。国内経済が全体的として縮小傾向にある中で、ドラッグストア業界全体では売上高伸び率は鈍化しつつも、成長は見せている。
ただ、これまでデフレ基調の中でも成長してきたドラッグストア業界だが、かつてのような伸長は望めないとの危機感は、各企業の共通認識といっていい。その理由の一つは、人口の減少と進展する超高齢社会である。また、様々な商品・サービスを取り扱うようになり、他の業種業態から“奪う”といったマーケットもないような状態にある。同業との出店競争だけでなく、都市部などでは狭商圏化の中でコンビニや小型スーパーなど他業態との競合も浮き彫りになっている。
先月末に、JACDSでは九州、西日本、中部、東日本と、各地で支部長等を集めたブロック総会を開催した。同協会の宗像守事務総長は、「ドラッグストア業界として新しい社会的役割や機能を創造しよう、そのために皆で力を合わせようという呼びかけに、全員が声を合わせて賛同した。食品の新たな機能性表示にしても、表示が単に変わるということでなく、自分たちが育てる、需要を創るんだという意気込みを強く感じた」と、今回のブロック会の印象を振り返る。各企業がそれだけ将来的な成長に“厳しさ”を感じていることでもあり、それが一層の結束につながったともいえよう。
セルフメディケーションの推進が国策として明記されたことを受け、その推進に向けて今後も新たな機能や価値を創造していきたいとするJACDS。ドラッグストアが健康寿命延伸産業として国民の期待に応えることで、なお一層の飛躍を遂げることを期待したい。