日本病院薬剤師会会長 北田光一

高齢化の進行と医療・科学技術の進歩により医療環境は激変しております。超高齢化により、慢性疾患や複数の病気をもった患者の急増と疾病構造の変化に伴って求められる医療が変化し、医療ニーズは多様化してきております。さらには、医療の進歩に伴う医療費の高騰が加わり、社会保障制度の持続が大きな課題となっております。
今後の方向性として、いわゆるプログラム法の下で、地域の状況にあった地域医療ビジョンに基づいた病院・病床の機能分化と強化や在宅医療の充実とその連携強化のための施策が進められていくものと思われます。
一方、私たち医療に関わる者は、限られた人的、財政的資源の中での高度かつ良質で患者満足度の高い医療を提供するという難しい課題に直面しております。この厳しい医療環境にあって、課題克服のためには医療関係者間の緊密な連携、いわゆるチーム医療が不可欠となっております。
その中で、薬剤師は薬学的知見に基づいた的確な管理指導を実践し、個々の患者に対して安全で最適な薬物治療を提供すると共に、医療の安全確保に貢献することが求められています。
各施設の実情に合わせ、病院薬剤師の通常業務として病棟活動が定着することを目指した取り組みと、病棟にとどまらず中央診療部門や外来を含めた「薬あるところ」での質の高い薬剤業務を展開し、他の医療スタッフからはもちろんのこと、患者からも信頼・評価される業務実績と客観的な臨床上のアウトカムを積み重ねることが大事な時期です。
日本病院薬剤師会として、▽病棟業務の展開と充実▽チーム医療の推進▽客観的な臨床上のエビデンスの集積▽薬剤師の資質向上――を取り組むべき課題の軸として活動していきます。本会事業にご理解いただき、薬に関することは責任をもってかかわり、明確な医療への貢献を介して信頼される存在となるべく努力を今年も引き続き行っていきます。