日本OTC医薬品協会会長 吉野俊昭
昨年は年の瀬に衆議院解散が決まり、その結果、自民・公明が衆議院の3分の2を占め、引き続き安定政権が維持されることになりました。現政権になり、セルフメディケーションが国策になっており、私たちにとっては、さらにセルフメディケーション推進へと取り組んでいく大きなチャンスになると考えています。
さて、昨年8月には厚生労働省から、2015年度税制改正要望の重点項目として「セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設」が政府へ提出され、その後、厚生労働部会で承認を受け、税制調査会へと審議が進められています。この年頭あいさつを皆様が目にする頃には、来年度の税制改正大綱が決定していることと思います。
消費増税が先送りされる中、社会保障財源確保のためには、減税となる一般用医薬品購入費用の所得控除が先送りになるのではとの見方もありました。しかし、最新の情報では、国民の健康寿命延伸につながるセルフメディケーション推進、その自助努力を支援する一般用医薬品購入費用の所得控除は、早期に実施すべきとの意見も出ているようです。
そこで、年末の最後の最後まで、厚労省と共に関係機関や関係者に対して、所得控除実現のための活動を実施しました。あとは人事を尽くして天命を待つわけですが、結果は必ず付いてくるものと信じています。
さらに昨年は、税制改正要望の活動と共に、5年前に公表された「OTC医薬品産業活性化ビジョン」の評価検証も踏まえ、5月に当協会に新たなプロジェクトを発足させ、「OTC医薬品産業グランドデザイン」の作成を進めました。10年後の国内外におけるOTC医薬品産業のあるべき姿というゴールを描き、そこに向けた課題や具現化のための基本戦略、そして確実に実行していくためのカウンターパートとの工程表までを包括しています。
それについては現在までに、厚労省をはじめとする様々なステイクホルダーと意見交換を進め、ブラッシュアップを図りながら、関係機関や関係者の理解を深め、協力体制を作り始めています。今回のグランドデザインは、そういったステイクホルダーとの調整がひと通り終えたところで、正式公表を行う予定としていますが、グランドデザインの実現に向けては、当協会の委員会、部会、プロジェクト、そして事務局が一致団結して取り組んでいく所存です。