1000万人の診療DBを活用‐事象と薬剤の因果関係解析
メディカル・データ・ビジョン(MDV)は、独自に保有する約1000万人分の大規模診療データベース(DB)を活用し、製薬企業向けに効率的で精度の高いリスク管理計画(RMP)の運用を後押しする。今年3月から提供が開始された「MDV analyzer for Academia」は、疫学調査支援を目的とした分析システムで、有害事象と薬剤の因果関係を解析する。今後は、製薬企業の目的に応じて、医療DBを活用したリスク監視やリスク最小化策を提案すると共に、RMPの立案段階からサポートする体制を構築したい考え。
同社は、全国の病院と強力なネットワークを持ち、病院からデータの二次許諾を受けたDPCデータ/レセプトデータをもとに日本最大級の診療DBを構築している。DBには、病名、診療行為、薬剤情報などが日単位で保持されているため、指定した薬剤や疾患の患者層や、指定した薬剤や疾患に対する併用・併発している薬剤・疾患、そのほか様々な薬剤処方の動向把握が可能になる。今までは、主に製薬会社のマーケティング活動に役立つサービスを提供していたが、今回提供を開始した「MDV analyzer for Academia」では、製造販売後のリスク監視という新たなアプローチを提案する。
同サービスでは、個別の薬剤・疾患に関して、任意の既往・起点・イベントを指定することで、該当条件下での患者数やイベント、発生ヒストグラムを分析できる。さらに既往・起点・イベントの対象期間を任意設定した上での詳細分析も可能となる。薬剤疫学研究では特に重要である、薬と副作用の因果関係特定に役立つ。医療DBを活用することで、使用成績調査でのデータ収集を簡略化し、薬剤のリスクベネフィット評価を早期に実現する。
4月にDBに集積した症例数が1000万人を突破し、今後もさらなるデータ拡充を図る方向。追加の安全性検討課題に対して、DBで検証する前向きな疫学研究の支援体制も強化する方針だ。4月からは、「患者数分析」「処方薬分析」「疾患分析」など必要度の高い6項目を3ステップで簡便に薬剤処方実態分析を行える「MDV analyzer Light」の提供を開始した。
EBM事業部門長の中村正樹氏は、「RMPにおけるリサーチクエスチョンの探索から検証まで、データベースを使って行えることを知っていただき、支援してきたい」と語る。現段階では、作成したRMPの運用を支援するサポートとなっているが、RMPの立案段階からMDVのDBを活用して、開発・市販後段階で安全性エビデンスを収集するためのプロセスを一緒に検討していきたい考えだ。
メディカル・データ・ビジョン株式会社
http://www.mdv.co.jp/