ヒトiPS細胞を用いて、非臨床段階で薬剤安全性を予測する評価法の開発が進んでいる。製薬企業と安全性試験受託研究機関会員社で構成された「ヒトiPS細胞応用安全性評価コンソーシアム」(CSAHi)では、一部の心毒性評価で進展が見られた。薬剤に起因する催不整脈のうち、心室分極遅延(QT間隔延長)を原因とする安全性評価では、従来の評価法にiPS細胞由来心筋細胞を用いた評価系を組み合わせることで、およそ7~8割の確率で催不整脈リスクを見つけ出すことが可能だという。今後は、その他の心毒性や肝毒性、神経毒性の評価技術開発がテーマになりそうだ。
iPS細胞を創薬に活用していくにあたって、健常人iPS細胞由来細胞を用いて、副作用を予測する安全性評価を行うメリットは大きい。動物を主体とした非臨床試験では、動物とヒトの種差が課題となるが、ヒトiPS由来細胞を用いることで、ヒトでの副作用を早期に予見できる可能性がある。また、細胞が検体となるため少量の化合物投与で済み、開発初期段階に毒性評価を行える。
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