◆献血で集めた赤血球製剤に、一酸化窒素(NO)を付加する薬剤やNOガスを吹き付けるだけで、血液の酸素運搬能力が最大2倍になる画期的技術が開発された。将来、少ない輸血量での治療や、肝機能障害患者への応用も期待できそうだ
◆新技術を開発したのは、慶応大学・末松誠教授のグループ。赤血球をNO処理するとヘモグロビンの蛋白構造が変化し、静脈など酸素量の少ない組織でも、酸素放出量が通常ヘモグロビンの2・6倍に上がる。また、アデノシン三リン酸(ATP)放出による血流量増加も確認され、毛細血管内の酸素運搬能力も通常の1・502倍に向上した
◆動物実験では、虚血障害を起こしたラットにNO処理した血液を輸血すると、肝機能の指標となる胆汁分泌が、処置しなかったラットの2倍に改善された。通常の血液を輸血したラットと比較しても25%増加した
◆今後は、臓器の障害をどの程度抑えられるかや、赤血球にNOを簡便・効率に付加する装置の開発が進められる。血液不足対策という意味も含め、付加価値の高い血液製剤の実用化が期待できる、この研究の進展に注目したい。
付加価値ある血液製剤に期待
2006年05月22日 (月)
‐AD‐
この記事と同じカテゴリーの新着記事
HEADLINE NEWS
ヘルスデーニュース‐FDA関連‐
新薬・新製品情報
企画
寄稿