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◆関西のある大手私鉄で実施されていた「全席優先座席」。これが始まった1999年には全国初の試みとして注目されたものだが、先日この会社は優先座席を復活させることを発表した
◆「お年寄りの方、お身体の不自由な方、妊婦の方、乳幼児をお連れの方など、座席を必要とされているお客様に対して、より座席をお譲りいただきやすい環境づくりのため」というのが復活の理由。「全席優先」を実施してから約8年が過ぎたが、結果的には現実が理想の前に挫折する形で幕を閉じる
◆これを聞いて、思い出すのがタイ・バンコクで見た光景だ。バンコク市内のBTS(バンコク市内の高架鉄道で、交通機関の一つ)やバスといった公共交通機関の車内では年齢に関係なく、お年寄りや乳幼児連れ、身体の不自由な人がいれば乗客は必ず席を譲る。大きい荷物を持つ人がいれば、その荷物を持ってあげる。こうしたことがごく自然に行われているのだ
◆文化の違いといえばそれまでだが、こうした譲り合う精神が自然と身についているタイ国民。モラル低下が著しい日本。われわれはこうした点ではタイを見習うべきだろう。