
バイエル薬品は1日、国内初のアルファ線放出医薬品として、骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌治療薬「ゾーフィゴ静注」(一般名:塩化ラジウム-223)を発売した。放射性同位元素のラジウム-223は骨転移巣を選択的に標的にする。そこからごく狭い範囲にアルファ線を放出し、腫瘍細胞のDNA二本鎖切断を高頻度で誘発。強力な殺細胞効果をもたらす。
国際共同第III相試験において、骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌患者の全生存期間を有意に延長することが確認された。2013年に欧米で発売され、現在世界40カ国以上で使用されている。
日本で新規に前立腺癌を発症した男性患者数は、胃癌に続き第2位と多い。前立腺癌の薬物療法としては、男性ホルモンの分泌や作用を抑制する内分泌療法が第一選択として実施され、ほとんどの前立腺癌に奏効するものの、数年後には抵抗性が生じて去勢抵抗性前立腺癌になる場合がある。転移性の同患者の約90%は骨転移を有する。骨転移は身体障害や死亡のリスクを増加させるため、早期の診断と治療が重要になるという。