薬剤師含め専門家の育成・支援に注力
健康食品を含めた保健機能食品およびサプリメントについて、消費者に対して専門的視点から個人の栄養状態を評価し、適切にアドバイスできる資格である「NR・サプリメントアドバイザー」。新たな機能性食品素材が増えている現在、その役割が注目を集めているが、この専門家の育成・教育を行っているのが、一般社団法人日本臨床栄養協会(小沼富男理事長)が運営する日本サプリメントアドバイザー認定機構(東京目黒区)であり、アドバイザー資格を取得した医師・薬剤師・管理栄養士をはじめとした医療関連職の会員が多いことも、同認定機構の大きな特徴といえる。
今でこそ健康食品関連の専門知識を有する人材を育成する団体・機関は少なくないが、正しい栄養学の普及と医療の発展への寄与、健康の維持・増進に貢献することを目的とする日本臨床栄養協会では、2001年にサプリメントアドバイザー認定機構をいち早く立ち上げ、管理栄養士、栄養士以外にも薬剤師やサプリメントを扱う多くの会員を教育・審査し、サプリメントアドバイザーを認定してきた。
2012年からは、国立健康・栄養研究所が養成する栄養情報担当者(NR)事業が日本臨床栄養協会に移管統合され、新たな統合資格の「NR・サプリメントアドバイザー」として、多くの有資格者を会員としている。現在、同機構の認定者で国家資格を有する者の比率として、管理栄養士・栄養士とほぼ同じくらい“薬剤師”が占めているのも、他の教育機関にない特徴といえよう。
NR・サプリメントアドバイザーの認定制度は、その質の確保および向上を図るため、認定試験制度と更新制度により認定を行う(更新は5年ごとに実施)。認定のための教育内容は、NR・サプリメントアドバイザーの役割と倫理、基礎の生理学、基礎の生化学、人間栄養学、生活習慣病概論、臨床栄養と臨床検査、身体活動と栄養、食品安全衛生学、健康食品、臨床薬理学、食品機能の科学的根拠、行動科学とカウンセリング、国内外の関連法規(食品の健康表示と安全性)──となっている。
資格認定から更新までの流れだが、最初に日本臨床栄養協会に入会し、研修単位(40単位)の取得を目指す。取得方法は通信教育「NR・サプリメントアドバイザー講座」の受講、日本臨床栄養協会学術大会(大連合大会)への参加など。その後は認定試験(年1回、12月の第1土曜日)を受験し、認定試験に合格すると「NR・サプリメントアドバイザー」認定証・認定カードが授与される。認定の有効期間は5年間で、5年ごとの更新には日本臨床栄養協会の正会員を継続することと更新のための研修単位の取得(50単位)、レポート提出が必要になる。
日本サプリメントアドバイザー認定機構では、具体的事例に参加者同士が考えを出し合い、講師・ファシリテーターを交えた相互の意見交換を通じて、生活者に正しく情報提供のできるNR・サプリメントアドバイザーを目指してもらおうと「交流研修会」を継続的に実施するほか、医学・臨床栄養学などの専門家を講師に全国各会場でレベルアップセミナーも開催し、会員のフォローアップに努めている。
同機構の情報部長で、薬剤師の池田秀子氏(一般社団法人日本健康食品規格協会理事長)は、「情報部ではこれまでも、機関誌を含め会員への情報提供に注力してきたが、今年度はドラッグストアや薬局、病院などでアドバイザリースタッフの方々が職場(現場)でどのくらい質問を受ける機会があるのか、質問の具体的内容も含めてアンケート調査をしたい。また、専門家が常駐していることを消費者に知らせる名札とか、店舗に掲示する認定書のようなものを作る方向で準備を進めている。薬剤師あるいは管理栄養士は、消費者と直接に接する機会が多く、情報を素速くキャッチできるのが大きなメリット。サプリメントアドバイザーの役割が適切に発揮されていけば、健康食品全体のレベルアップにもなる」として、各職場における専門家のさらなる積極的な関与へ期待を示す。
一般社団法人 日本臨床栄養協会
http://www.jcna.jp/