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【薬局業務の効率化と質的向上を目指して】日生薬局牛込店(EMシステムズ)

2016年07月29日 (金)

ITで在宅業務効率化‐外出先でも薬歴確認

 日生薬局牛込店(東京都新宿区)は、近隣の東京女子医科大学病院をはじめ、複数の医療機関から処方箋を受けながら、在宅医療にも積極的に取り組む地域密着型の薬局だ。在宅医療のニーズは、高齢化が進むにつれ、今後も増すことが予想される。通常の薬局業務に取り組みながら、医師や看護師と連携し、報告書作成などの煩雑な業務を行うことは容易ではなく、医療保険財政が厳しい状況では、そのための人員増も難しい。同薬局では、EMシステムズの在宅療養支援アプリを導入し、在宅業務の大幅な効率化に役立てている。

 東京都内の山手線沿線を中心に、神奈川、埼玉に36店舗を展開する日生薬局(本社:東京都新宿区河田町)は、主に都内の大学病院や総合病院の門前に店舗を展開している。牛込店も、近隣の東京女子医科大学などから1日平均80~90枚程度の処方箋を受けている。

 また、一般用医薬品や健康食品、特定保健用食品などを40~50品目ほど取り扱い、管理栄養士が店舗で生活習慣病の予防や改善のための情報提供を行っている。

 院外処方の調剤業務をメインとしつつ、力を入れているのが在宅医療だ。

 2025年には、国民の4人に1人が75歳以上という超高齢化社会の到来が予想されており、厚生労働省が進める地域包括ケアシステムの構築と連動して、患者宅を訪問して薬剤を届けたり、服薬に関するアドバイスなどを行う薬剤師の役割は、これまで以上に重要性を増してくる。

 日生薬局牛込店では、3人の薬剤師のほか、事務と兼任のドライバーが在宅に出向き、主に、自宅や施設を訪問して、薬剤の配達や服薬指導・服薬支援などの業務を行っている。取り扱う薬剤のほとんどが、注射や経腸栄養療法に用いる輸液などで、薬剤の服用や栄養維持が困難な患者のケアが多い。

中野氏

中野氏

 日生薬局を運営する日本生科学研究所医薬事業部在宅医療推進開発課の中野宜範氏によると、曜日や週によって増減はあるものの、「1日5~10件程度、ほぼ毎日、在宅に出向いている状況」だという。

 在宅医療を始めた当初は、個人宅への訪問が多かったが、高齢者施設などでの配薬が徐々に増えていき、施設側からの依頼で医師の往診に同行することも多くなった。

 在宅訪問する際は、事前に薬歴や報告書を紙媒体で訪問先ごとに持参していたが、「かさばる」「持ち出せる情報が限られる」という問題があり、外出先からでもiPadなどのタブレットから利用者の基本情報、服薬状況などを確認できるEMシステムズの「ランシステムNEXT」を導入した。

「ランシステムNEXT」の導入で報告書作成などの業務が大幅に軽減された

「ランシステムNEXT」の導入で報告書作成などの業務が大幅に軽減された

 EMシステムズの主力レセプトコンピュータ「Recepty NEXT」と連動したiPad専用のアプリケーションで、患者の基本情報から薬の処方情報、服薬指導歴、医師への報告書・計画書までを一元的に管理できるというのが特徴だ。また、書類作成の効率化、情報の検索性や真正性などの面でも高い効果が期待できる。

 中野氏によると、システム導入前は、「10件の訪問に分厚い薬歴ファイルを10個持って行った」こともあったが、システムの導入によって「かなり身軽になった」という。

 また、日付ごとに処方履歴を追うことや、同時に報告書を閲覧することもできる。訪問スタッフ、医師や看護師がとったバイタルサインなども記録できる機能を備えており、「前回のバイタルが今回と比較してどう変化したのかも分かる。訪問先であっても、パソコンと同じくらいの情報がいつでも引き出せるのは大きなメリット」と話す。

 「ランシステムNEXT」の導入により、報告書作成の手間も省略された。

 以前は、薬局に帰ってきてからメモ書きの情報をレセコンに入力し、独自の報告書を作成していたが、同システムには必要書式のひな形が備わっており、画面のフロー項目に沿って問診を行い、その内容に合致する選択肢を選ぶなど、簡単な入力作業を行うだけで報告書や訪問薬剤管理指導記録簿などが簡単に作成できるようになった。

 中野氏は、「出先でもiPad上で(報告書が)書けるので、薬局に戻ってからは、情報を取り込んで出力するだけ。出先で一通りの業務を完結できるというのは大きい」と話す。ましてや、ドライバーがいる牛込店では、移動時間が有効に活用できるため、システム導入のメリットは「さらに大きい」という。

報告書と薬歴のリンクを

限られた人員で質の高いサービスを提供するためには業務の効率化は欠かせない

限られた人員で質の高いサービスを提供するためには業務の効率化は欠かせない

 限られた時間と人員で、より質の高いサービスを提供するためには、システムの改善は不可欠だ。日生薬局牛込店では、EMシステムズのレセコン「Recepty NEXT Type2」を採用しているが、「薬歴と報告書をコピー・ペースト(貼り付け)する必要があり、報告書の文言をそのまま自動で薬歴に添付できるような形になってくれると、薬歴と報告書の作成という二度手間がなくなる」と、さらなる改良も求める。なお、この薬歴との連動については、「今年9月に対応予定」(EMシステムズ)とのことだ。

 また、在宅医療では、一人の患者に複数の医療職種が関わることが多いことを踏まえ、「例えば、電子端末上で各職種がそれぞれの情報を共有できるようになれば」など、アイデアは尽きない。これも、業務の効率化によって、より良いサービスの提供につなげていきたいとの思いからだ。

今後も在宅に注力

 日生薬局では、36店舗で月に1000件程度の居宅訪問管理指導を行っているが、将来的に1500件にまで増やす目標を掲げており、これまで以上に在宅医療に力を入れる方針だ。

 牛込店では、無菌調剤室を完備し、薬剤の混合操作が多く、無菌状態での作業が要求される高カロリー輸液調剤の調製・調剤も行っている。在宅輸液療法(HIT調剤)に対応するためだ。

 中野氏は、「結局、外来(処方箋調剤)しかやっていないと、患者さんが来なくなった時、お亡くなりになってしまったからなのか、単に他の薬局に行くようになったのか、本当の理由が分からない」と指摘。一人の患者を責任を持ってケアする上でも、「看取りも含めてより薬局が介入できる形にしていきたい」と、さらなる意欲を示した。

日生薬局牛込店(EMシステムズ)
http://www.emsystems.co.jp/products/lan_system.html



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