■安全管理問う事件が多発
エレクトロニック・ライブラリー(EL)は20日、「ELトレンド指数で2007年を振り返る」と題し、今年注目を集めたキーワードを発表した。話題キーワードの第1位は、「新潟県中越沖地震」であり、第3位にも3月25日に起きた「能登半島地震」が入った。第2位には「年金記録」がランクインするなど、今年も社会生活を脅かす出来事が上位を占めた。
ELは薬事日報を含む新聞70紙、雑誌約150誌から、年間80万件以上の記事をデータベース化し、「ELNET(イーエルネット)」を提供している企業。同社は、ELNETに登録されているキーワードヒット数の増減傾向を、「トレンド指数」として数値化している。これは、ある特定の言葉が社会で今後トレンドになっていくのか、それともピークを過ぎたのかを示す指標になっている。
このトレンド指数を基に、ELは「話題のキーワードランキング」を毎月発表しているが、1月から11月のキーワードのうち、トレンド指数が高かった10の言葉を選定し、1年間を振り返ったもの。
今年の注目キーワード・トップ10は、[1]新潟県中越沖地震[2]年金記録[3]能登半島地震[4]サブプライムローン[5]臨界事故[6]新テロ対策特別措置法案[7]内閣改造[8]ジェットコースター[9]ハイリゲンダムサミット[10]証人喚問――であった。
7月16日に発生した中越沖地震は、柏崎刈羽原子力発電所を直撃し、日本中が原発事故の恐怖にさらされると共に、発電所の運転中止による夏の電力不足も取り上げられた。また3月25日に起きた能登半島地震でも、過疎地の家屋が倒壊するなど被害が甚大だった上、従来それほど大規模な地震がなかった地域だけに、予測の難しさを再認識させられた。これら二つの地震では、災害医療の提供に薬業界や薬剤師ボランティアが協力したことも記憶に新しい。
社会の安全管理体制が問われる事件も多発した。3月には過去の原発臨界事故を隠蔽していた事実が発覚、5月には大阪万博跡地のテーマパークでジェットコースターが脱線し、乗客1人が死亡するという痛ましい事故も起こった。トップ10にはランクされなかったが、食品の賞味期限や産地などの偽装も、次々と明るみに出た。
政局は波乱の1年となった。初の戦後生まれ総理による内閣として颯爽と登場した安倍政権だったが、年金問題や相次ぐ農水大臣の不祥事などにより7月の参議院選挙で歴史的大敗を喫し、内閣改造で起死回生を狙ったのも束の間、9月には首相自らが突然の退陣表明を行い、世間を驚かせた。また大きな政治課題であるインド洋の給油問題は、政府が新テロ対策特別法案として国会に提出しているが、その審議過程では証人喚問のあり方もクローズアップされた。
海外では米国サブプライムローンの焦げつきが信用不安を呼び、世界経済にまで影響が広がっている。また、6月にドイツのハイリゲンダムで開かれた先進国首脳会議では、地球温暖化対策が最大の議題となり注目を集めた。
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